明治の日本はけっこう金持ちだったの?
京都の疎水は観光名所として有名です。南禅寺の水路閣や蹴上のインクラインはガイドブックに載ってますね。「ガイドブックに載らない京都」としては、ちょっと違う切り口でスポットを紹介します。
それは、旧九条山浄水場原水ポンプ室(御所水道ポンプ室)です。場所はインクラインの一番上の突き当りです。疎水に橋が架かっているのですが、そこから見ることができます。
優雅な建物です。片山東熊と山本直三郎が設計し、明治45年(1912年)に竣工しました。
琵琶湖第二疎水工事に伴い完成したこの重厚で美しい建物は、実は中にポンプがあるだけです。ポンプのためにこんなきれいなレンガ造りの建物を作るとはどういうことでしょうか。
「旧九条山浄水場原水ポンプ室」は「御所水道ポンプ室」と呼ばれ、京都御所に防火用水を送る目的で建てられた施設で、京都御所の紫宸殿より高くするためにこの場所に造られました。
京都御所の防火用水だから建物まできれいにしたというわけではなく、大正天皇が皇太子さまの時に疎水を大津から京都へ船で抜ける計画があったらしく、その時に京都側で役所の高官たちが皇太子さまを出迎えるためにこのような豪華な装飾を施したということです。実際の出入り口は建物の側面ですが、疎水の方に向けて玄関があるのもここに高官達たちが並んで皇太子さま出迎えるためだったということです。
なんという贅沢なお金の使い方でしょうか。明治時代の日本はけっこうお金持ちだったのかと思ってしまいます。
旧九条山浄水場原水ポンプ室
疎水に架かる橋の上から写真を撮っています。柵があって近づくことができないのでとても残念です。
ここが精一杯近づける場所です。
とても美しい建物です。おいておくだけではもったいないので何かに再利用すればいいと思うのですがなかなかはかどっていないようです。
疎水見学の折にはぜひご覧になってください。
アクセス
- 京都市営地下鉄「蹴上」下車、徒歩3分
- 京都市バス「南禅寺永観堂前」下車、徒歩10分