季節外れではありますが
上賀茂神社の東の方にある、「大田神社」に参詣しました。上賀茂神社の境外摂社(第三摂社)で、古くは「恩多社(おんたしゃ)」と呼ばれていました。
起源は不明なのですが、上賀茂神社よりも古くからあり、このあたりでは最古の神社です。
ご祭神は、天鈿女命(あめのうずめのみこと)で、「天の岩戸隠れ」の伝説などに登場する芸能の女神様です。これは、音楽や芸事・技芸の上達のために参らねばなりません。
上賀茂神社に前から、「藤の木通り」を東に歩くと、「大田神社前」の交差点に出ますので、左折して北(山手)に向かいます。
すると、すぐ正面に大田神社が見えてきます。
長寿福徳の神様です。駒札にも書かれている通り、天の岩戸の前でお神楽をされた神様なので、芸能上達のご神徳があります。
季節外れ その1
境内に入る前に気づきました。
これは、紅葉のシーズンに訪れないといけないでしょう。今は若緑がきれいですが、これが紅葉すると、良い景色になること間違いなし。
今から、紅葉シーズンにはどこで写真を撮ろうかと、カメラアングルを探っておきます。
いいですね。この木々。でも、ちょっと、不安が。本殿に近づくと、上の画像でもお分かりのように、何か見えてますよ。
あらま。工事中のようです。
う~ん。予想外の展開です。でも、めげずにお参りしてきました。
境内を見てみます。雨が降っているので、山からの水も勢いがあります。
末社の鎮守社です。
末社の百太夫社です。
境内から外の方を見るとこれもなかなかいいカメラアングルになりそうです。今日は雨が降っているので、参詣も私一人で誰とも会いませんでした。紅葉シーズンもこんなに静かであったらいいんですけどね。
意外な発見
帰り際に張り紙がしてあるのを発見しました。
石橋の横に「蛇の枕」と呼ばれる石があるそうです。蛇が枕にしていた石だそうで、蛇は昔から雨を降らせる生き物とされており、この石を鉄器(農機具など)で叩くと、蛇が怒って雨を降らせるのだそうです。
入口方向からから見た石橋です。橋の右側に写っている「蛇の枕」がわかるでしょうか。
「蛇の枕」の近影です。なんかそれ自体が蛇の頭のようですね。
季節外れ その2
「大田神社」と言えば、なんといっても「カキツバタ」の群落が有名です。
大田神社の前にある、「大田ノ沢」には天然のカキツバタが群生しています。毎年、見頃は5月上旬から中旬にかけて。当然今は季節外れ。
「大田ノ沢」は古代に深泥池(みどろがいけ)と同様に沼地であったといわれ、かつて京都盆地が湖であった頃の面影を残すものであるとして、カキツバタ群落とともに、昭和14年(1939年)に国の天然記念物に指定されました。深泥池とつながっていたともいわれます。地図を見るとなるほどと納得できます。
このカキツバタの群落は、平安時代にはこうすでに景勝地として知られていました。平安朝の貴族が景勝として愛でた景色を、現代の私たちも同じように見られるというのはちょっと素敵ですね。
どんなかな? と思って近づくも、ネットで遮断されていて、近づけません。
道路沿いもネットで遮断されています。これは、鹿の害を防ぐためだそうです。鹿が花芽を食べているので、カキツバタの花が減ってきているそうです。最初は垣根を作ったのですが、今度は他の小動物が入って荒らすので、仕方なくネットで遮断してカキツバタを守っています。
シーズンには沢一面に濃淡さまざまな紫色の花をつけた、とってもきれいなカキツバタの群落がみられます。このカキツバタの景色は文治6年(1190年)に藤原俊成(藤原定家の父)が
神山(こうやま)や 大田の沢の かきつばた ふかきたのみは 色にみゆらむ
と詠みました。歌の意味は
神山(賀茂別雷命の降臨地)の近くにある大田神社のかきつばたに、深くお願いする色事は、かきつばたの色のように一途で美しく可憐なのだろうか。
Wikipediaより
だそうです。
「色事」を「カキツバタ」に「深くお願いする」と書くと、ちょっと恥ずかしいですが、「恋愛」のことですよね。私も、来年の見頃には「色事」をお願いに参詣しましょう。「色事」が「一途」で「美しく可憐」でありますように。
「大田神社」は芸事・芸能・技芸上達にご神徳のある、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が祀られており、技能上達間違いなし。カキツバタや紅葉の時期にお詣りされてください。
アクセス
- 京都市バス「上賀茂神社前」下車、徒歩12分