第2の貴船神社
「貴船神社」と言えば、多くの人がご存知だと思います。ガイドブックに載ってるし、インスタにもいっぱい上がってるし、あの階段のところはとても有名ですね。
でも、あこまで行くのが遠い!と、考えることは皆同じで、ほんなら、もっと近いところに分社したらいいやんか、となって、「深泥池貴舩神社(みどろがいけきふねじんじゃ)」ができました。
今では叡電に乗ったら、あっという間に貴船神社ですけど、昔はえっちらおっちら山道を登っていかないと参詣できませんでした。行きにくいところへ行くから、ご利益があると言われればその通りですが、やはりいつでもすぐにお詣りできるところの方がいいのではないか、という庶民の願いが聞き入れられたようです。
深泥池の西の端から北に向かって少し歩くと「深泥池貴舩神社」にすぐ着きます。
道沿いに入口があります。この前の道はとても細いのですが、生活道路なのでけっこう車が通ります。ご参詣の方はお気を付けください。
一の鳥居はとても立派な石造りの鳥居です。
階段を上がっていくと、右手に「深泥池貴舩神社」が、まっすぐ行くと「秋葉神社」があります。上の画像は右手を見たところです。
本殿前まで来ました。
神額も石造りです。もう気が付いている方は多いと思いますが、ご本尊は「貴船」、こちらは「貴舩」と字を変えているんですね。スマホでご覧の方はわかりにくいでしょうか?
左手に手水鉢があります。
本殿の真ん前には、ご神燈が並んでいます。
本殿前のこれは狛犬?なんですかね。左が金で右が銀、そして、右だけアクリルケースでおおわれています。そして、打ち出の小づち? のようなものまであるではないですか。
ご神体が見えます。「深泥池貴舩神社」は、本社の「貴船神社」と同じ、高霹神(たかおかみのかみ)が祀られています。高霹神は雨水をつかさどる神様です。簡単に言えば龍神様ですね。農耕、安寧、除災招福のご利益があります。
新しそうなご神燈です。
本殿北側
本殿からは見えにくいのですが、その後ろ(北側)にも末社があります。
本殿の裏側です。
「弁財天社」です。七福神の一人である弁天さんが祀られています。
その横にはとっても大きな木があります。ご神木だと思うのですが、引いても映り切りません。
役行者(えんのぎょうじゃ)の石像です。役行者とは、役小角(えんのおづぬ)とも呼ばれる、修験道の開祖である呪術者のことだそうです。
だいぶんと古いですね。
すぐきの神様?
さて、今度は階段をまっすぐに行ったところにある、「秋葉神社」です。別名「すぐきの神様」です。
「すぐき」って、ご存知ですか。「酸茎漬け」とも言います。京都の伝統的な漬物の一種で、カブの変種である酸茎菜の葉とかぶらを原材料としています。現代の日本では数少ない本格的な「乳酸発酵漬物」で、さっぱりとした酸味がして、とってもおいしいです。ごはん、何杯でも行けます。「柴漬」、「千枚漬け」と合わせて京都の三大漬物と言われます。
さて、「すぐきの神様」の由来ですが、こんな立派な石碑になってます。
要約すると、平安時代から続く、「火伏せ神」として祀られてきた「秋葉神社」でしたが、明治時代の廃仏毀釈によって、明治元年(1868年)上賀茂神社の社家が打ち壊してしまいました。修復せずにそのままにされていたのですが、翌年3月に村に大火が起こります。「火伏せ神」が起こって、天罰が降りた、と村の人々は途方にくれます。
焼け跡から漬物桶が見つかります。桶は焼けましたが、中身は残って、いい具合に火が通ってます。良い香りがするので、村の長が食べてみると、「酸(す)い茎や。」と言ったそうで、そこから「すぐき」という言葉が生まれたそうです。
これがすぐきの発祥にまつわるお話です。
「すぐき」を食べたことのない方は、一度食べてみてください。とってもおいしいお漬物です。さっぱりとした酸味がとても食欲をそそります。京都のお土産にもいいですよ。
本家の貴船神社もいいところですが、「深泥池貴舩神社」も京都らしさを感じさせられるところです。深泥池やおしゃれな北山界隈にも近いですので、ぜひ訪れてみてください。
アクセス
- 京都市バス「上賀茂豊田町」下車、徒歩5分
- 京都バス「狭間町」下車、徒歩3分