ほんまですかいな?
ネットで検索すると、「京都の心霊スポット」として出てくる「二葉姫稲荷神社」です。
でも、どの記事を見ても、具体的に何がどうなったのかということに欠けていますし、深泥池のような統一感のある(同じようなことが現象として繰り返される)心霊現象を思わせる記事はありません。たまたま、その人に何か起こったことを、無理やりこじつけているような印象を受けます。
何が心霊スポットと呼ばれる理由なんでしょうか?
記事によっては、上賀茂神社のかたが近寄らない方がよいと言ったとか。これは本当なんでしょうか。ちょっと信じられません。
なので、実際に行ってみました。
「二葉姫稲荷神社」の朱鳥居の寄進は「上賀茂神社」の社務所が窓口となって行われています。一番手前の鳥居は最近修繕されたようでとても新しくきれいです。
上賀茂神社側の入り口です。少し上ります。上の画像の明るい部分が一番上なので、すぐです。ここは「神宮寺山」とか「片岡山」と呼ばれる山入端です。
こちらの入り口(上賀茂神社側)の石碑には「二葉姫稲荷神社」と「姫」の字があります。反対側の入り口の石碑には「姫」の字はなく、「二葉稲荷大明神」となってます。
参詣道もきれいに手入れされています。なだらかな登りですので、そんなにしんどくありません。右手にはすぐ人家があります。とても、怖いところだとか、心霊スポットという感じではありません。
一番上まで上がりました。なにやらたくさんの祠があります。
廃仏毀釈と神宮寺
「神宮寺」は 弘仁11年(820年)、第52代嵯峨天皇の勅によって、賀茂山口神社(沢田社)の東側に創建されました。「二葉姫稲荷神社」は「片山御子社」の神宮寺鎮守社として創建された神社です。現在、「片山御子社(片岡神社)」は上賀茂神社の第一摂社です。そして、後ろにある山も「片岡山」と呼ばれます。
この「神宮寺」は、2度の焼失を経て、明治元年(1868年)神仏分離令後の廃仏毀釈の風潮で廃絶となってしまいました。
廃絶となった「神宮寺」にあった、「神宮寺池(晴池)」も埋められてしまったのですが、それ以降、村の人々の夢に龍神が出てくるようになりました。そこで、「神宮寺池」の中央にあった辨天島の「八嶋龍神」をここに、遷宮し龍神を祀ったそうです。ご神体は、辨天島から持ってきた神石です。ご神紋は「鱗紋」ですね。
「神宮寺池(晴池)」は、その水を抜いて池を干すと、旱(ひでり)が続いたという伝説がある池です。「御影龍神」は神石をご神体として祀られています。手桶に水がいっぱい入れて備えられています。
「二葉姫稲荷神社」から、もう少し東にある「大田神社」には雨を降らす「蛇の枕」があります。このようなことから、この辺りは昔から農耕盛んな地域であったことが推察されます。
「天之斑駒神社(あめのふちこまじんじゃ)」です。「天之斑駒」は「天の岩戸伝説」に出てくる馬ですが、なぜここに祀られているのかはよくわかりません。日本中でもここだけではないのでしょうか。
「天之斑駒神社」の隣には「金比羅大権現」があります。
「金比羅大権現」の祠ですが、その隣に「三( )不動明王」とあります。( )は「月へんに豊」という漢字一文字なのですが、今は使われない漢字のようです。もしかしたら、「月へん」ではなく「肉月」かもしれませんが不明です。このお不動さんも詳細不明です。たくさんの神社があるのですが、詳細不明ばかりで謎が深まります。
水が湧き出ています。横の石碑の一文字目がよくわかりません。
二葉姫稲荷神社
「金比羅大権現」の隣が、今回の目的である「二葉姫稲荷神社」です。やっとたどり着きました。「上賀茂神社」には摂社、末社がとてもたくさんあります。境内だけではなく、境外まで広範囲にわたって鎮座されています。古来から上賀茂地域は神の降臨する神聖な場所であったんでしょうね。
「神宮寺」の鎮守社として創建されたにもかかわらず、御本尊が廃仏毀釈の波でなくなってしまったゆえに、心霊スポットだとか、怖い場所だとか言われるのでしょうか。そうだとしたら、昔の人間の浅はかな行いから派生した、ただのデマでしかないのではないかと思います。
きれいに手入れがなされていています。地域の方々の信仰が篤いことがよくわかります。「賀茂二葉会」と書かれていますが、「二葉姫稲荷神社」の講なのでしょうか。
立派なご神燈です。
振り返ると、京都市内が望めます。今日は雨模様なので視界が悪く、あまり遠くまで見えませんが、晴れた日には京都タワーなどもきれいに見えるそうです。雨の京都もなかなかオツなものですよ。
今度は、反対側の入り口(東側の参詣入り口)の方に下りていきます。
こちら側の石碑には「姫」の字はなく、「二葉稲荷大明神」となっています。
手水鉢がありますが、現在は使われていないようです。石に肉厚のあるとても立派なものです。昔は氏子にとても力があったと思われます。
「光善稲荷大明神」です。少し調べてみましたが、詳細はわかりませんでした。
反対側の登り口です。こちら側からの方が、山の神社に来たという感じを受けます。
参詣してきましたが、特に怖い場所だとか、心霊スポットとしては、私には考えられませんでした。少し古びた感はありますが、よく手入れの行き届いた氏神様という印象です。
「二葉姫稲荷神社」は「上賀茂神社」の摂社ではありませんが、「片山御子社」からの鎮守社として創建されたことからすると、「上賀茂神社」とは深い縁にあると思われます。「二葉姫稲荷神社」の二葉はたぶん「上賀茂神社」のご神紋である「二葉葵」から来ているのでしょう。上賀茂神社の広い風景とはまた違った、山入端の昔からの神社という「二葉姫稲荷神社」へ、ぜひお詣りください。
アクセス
- 京都市バス「上賀茂神社前」下車、徒歩5分