謎の「0番のりば」
物事に番号を付けるときには、たいてい1から始まるのが普通ですよね。まぁ、世の中には変わり者もいるし、一概に1から始まるとは言えないのかもしれませんけど。
1は一番最初で、切りが良くて、1番を目指す、頂上、それこそ「一番!」、と何かしら駆り立てるものがありますね。
で、「0番のりば」です。しかも、京都駅。
やっぱり 変わり者? 偏屈?
加えて「1番のりば」がありません。次は「2番のりば」です。
0,2,3,4,5、…
なんか、しっくりきませんね。探してしまいそうですね。「どっかにあるんとちゃうやろか?」って。
昔はあった「1番のりば」
私は「鉄っちゃん」ではないので、あんまり詳しいことは知りません。昔は京都駅にも「1番のりば」がありました。
ここで、ややこしくなるのですが、「のりば」の番号と「線路」の番号(番線)は必ずしも一致しないということ。普通は間違いが起こるといけないので、「のりば」の番号と「線路」の番号は一致するようにしているのですが、なかなか一筋縄ではいかないみたいです。
京都駅の場合...
現在、近代的できれいな京都の玄関口である京都駅ビルですが、これが建てられる前は、何とも貧弱な3階建ての建物でした。それで、駅ビルを建てるときに、京都駅のホームなども大きく改築しました。
そこで、問題発生。
以前、JRは「国鉄」であって、全国組織だったのですが、分割民営化のあおりを受けて、京都駅は「JR東日本」と「JR西日本」が分割統治することになってしまったのです。
どういうことかというと、在来線は「JR西日本」、新幹線は「JR東日本」が管轄するということになってしまったのです。当然駅長も2人。なんちゅう、縦割りなやり方...
で、在来線の11本の線路を整理して番号を振ろうと考えたのですが、新幹線の「番線」が11番から14番。「JR東日本」当然、新幹線の番線を変えようとはしませんし、在来線が1~10番線と15番線と飛ぶのも、ちょっとなぁ~、ということで
0~10番で線路の番号としました。
これで、丸く収まった。というのも、そのうち1本の1番線は貨物が通過するだけなので、乗降のためのホームが必要ないから、「のりばは1~10番」の10個、「線路は0~10番」の11本、0番線は「1番のりば」と言っとけば、問題ない。
そう、問題はないはずだったんですが...
駅員さんは、0番線を、社内では「0番線」、お客さん向けには「1番のりば」と言い分けていたのですが、そら間違いますわな。
仕方ないので、最終手段として、「0番線」を「0番のりば」とすることで間違わないようにしました。
なので、現在「1番線」はありますが「1番のりば」はありません。
検証
実際に、京都駅構内をうろつきました。
列車案内板も「0」の文字。「0番のりば」は特急サンダーバードが主に停車するホームのようです。
これが、「0番のりば」です(左側)。実は、日本で一番長い558mもあるホームです。といっても30番のりばの「関西空港線(はるかホーム)」と切り欠きホームでつながっているので、一直線ではないんですけど。0番ホームが323m、30番ホームが235mあります。それでも長いですよね。ホームの一番端に立つと、反対側の端の方は全然確認できません。
それと、上の画像の左から2番目の真ん中の線路が「1番線」です。貨物通過や回送列車の専用番線だそうです。一番右の線路は「2番のりば」です。
こちらの案内板も「0」の文字。
なんかねぇ。間が抜けているというか。締まりがない感じです。
こっちを見てるように感じるのは私だけ?
関白秀吉の怨念?
なんで秀吉が出てくるの?
実は、昔の1番線(今の0番線)は、豊臣秀吉が、京都の町の防御壁として気づいた「御土居(おどい)」があったところなんです。京都の一番南の端にあった御土居を掘り下げて、1番線を走らせました。
天下統一の途中で滅ぼされた、つまり、1番が取れなかった秀吉が、御土居を取り壊された腹いせに1番のりばを奪っていったように思えます。
上の方の画像で、0番のりばに立ってる人は洛中、2番のりばに立ってる人は洛外にいることになるんですね。
そのほかの日本一
先ほど、「ホームの長さが日本一」であることは書きました。京都駅の「日本一」は他にもあって、「34番のりば」という「日本で一番大きな数字ののりば」だそうです。実際には34番まですべてがあるわけではなく、15番から29番がなくて合計19ののりばがあります。
なんでまた数字が飛んでるの?
これは山陰線(嵯峨野線)のサンインから31として、山陰線を31~34番のりばと設定したことに起因します。
それと「在来線特急の発着種類が日本一多い駅」、これは鉄っちゃんにとってはとってもワクワクするところなんでしょうね。
何気なく通勤に使っている人から、あこがれの京都の玄関口になるひと、鉄道マニアとそれぞれの思いが交錯する京都駅です。ご利用の際には、せっかくですから、駅構内も見て回ってください。