阿羅羯磨(あらかつま)
大映通りには昔のような華やかさはなくなりましたが、映画に関するモニュメントや石碑などが残っています。
今回は「大魔神」です。日本の特撮映画といえば何といっても東宝の「ゴジラ」が有名なのでしょうが、大映の特撮といえば「ガメラ」とともに「大魔神」でしょう。
「ゴジラ」や「ガメラ」には、映画であるとともに「ショー」としての華やかさがありますが、「大魔神」は戦国時代の暗さだけが心に残る映画でした。でもこのような映画等で「悪いことをすると、天罰が下る」という概念を幼心に埋め込まれたような気がします。
「大魔神」というのは通称名称で、正式名称は「阿羅羯磨(あらかつま)」というそうです。
「帷子ノ辻」の交差点から近いところにあります。
「大映通り商店街」の西の入り口です。この画像でお分かりと思いますが…
「キャメラ」だけではなく…
これ。これですよ。 早速行ってみましょう。
すぐに見えてきました。
スーパーの前で仁王立ちです。
なかなか他では見ることができないモニュメントですね。
映画の中の設定では、身長(?)が4.5mだそうです。
映画の中では20mかそこらはありそうな印象だったのですけど、設定は低めなんですね。
台座のところにある解説書きです。「大魔神」は三部作の映画で、3本とも昭和41年(1966年)に制作されています。1年の間に3本も連続でよく作りましたね。
見上げるととても迫力があります。
今日も京都の平和を守ってます。
「大魔神」は今から50年以上前の特撮映画なので、今の感覚で見ると特撮はちゃっちぃ感じが否めませんが、出演している俳優さんたちは当時の時代劇映画で活躍していた方々なので、演技の方は素晴らしいです。この時代は東宝の「ゴジラ」が怪獣物の特撮として大当たりだったことから、当時の映画会社は怪獣ものや特撮をあれやこれやと生み出しました。
そんななかで「大魔神」は「特撮」+「時代劇」という、他にはない独特のジャンルです。TVで言えば「仮面の忍者赤影」の部類ですが、「赤影」のように設定が荒唐無稽すぎて笑いを誘うような要素はありません。あくまでも、神が怒ったときのコントロールできない「恐ろしさ」を感じさせる秀作だと思います。当時、「大魔神」の興行成績は芳しくなく、初回でトントン、その後は徐々に赤字という感じだったので、翌年、第4作がクランクインすることはありませんでした。
この「大魔神」の成り行きは、「大映」そのものの成り行きと似ていて、世の中の映画離れと共に衰退を呈し、昭和46年(1971年)に「大映」は倒産してしまい、京都撮影所は閉鎖されてしまいました。
会社は倒産しても、「大魔神」というキャラクターは世に残り、今もスーパーマーケットの前で世の中に「にらみ」を利かせています。
アクセス
- 京都市バス「帷子ノ辻」下車、1分