グランプリ広場
「大映京都撮影所」のあった、大映通りを紹介しましたが、今回はその大映通りのもう一つの記念碑を紹介します。
前回は「大映京都撮影所跡地」の石碑でしたが、今回はとても豪華で世界的な規模の記念碑です。
昭和46年(1971年)に倒産してしまった「大映」ですが、とても有名な作品を世に送り出しています。「大映京都撮影所」での有名作品と言えば、何といっても「羅生門」が大一番でしょう。それまで無名だった「黒澤明」監督を世界的な規模で知らしめた名作です。
映画「羅生門」は「芥川龍之介」の短編小説 『藪の中』と『羅生門』を原作に、平安時代の乱世で、ある殺人事件を目撃者した人たちやその関係者が、それぞれ食い違った証言をする姿を各々の視点から描き、人間のエゴイズムを鋭く追及した作品です。
「羅生門」は昭和25年(1950年)に公開されましたが、難解な作品だということもあり、国内での評価はまさに不評で、この年のキネマ旬報ベスト・テンでは第5位にランクインされる程度でした。ところが海外では高く評価され、翌年「ヴェネツィア国際映画祭」でグランプリにあたる「金獅子賞」を受賞しました。戦後すぐの混乱期に、日本映画として初めて海外映画祭でグランプリに輝き、世界における日本映画の評価が高まるきっかけとなった記念すべき映画です。また、第24回アカデミー賞で名誉賞(現在の外国語映画賞)を受賞しています。
大映通りから少し南に下ると「太秦中学校」があります。
その「太秦中学校」以前に紹介したマンションと同じく「大映京都撮影所」の跡地です。
「太秦中学校」の校門の左手には「大映株式会社 京都撮影所」の石票があります。
レプリカとか後世の政策ではなくて、当時使われていた銘板そのものです。
掲げられていた位置もこのあたりだそうですよ。
そして校門の右手には「グランプリ広場」と名付けられた専用のスペースが設けられています。
なんとまあ、すごいですよ。
世界の映画祭で始めてグランプリを受賞しているので、気合の入れ方が違いますね。
台座になっているのは平和のシンボルである「鳩」のモチーフです。
アカデミー賞の副賞である「オスカー像」です。
こちらはヴェネツィア国際映画祭での「金獅子賞」です。(レプリカですよ、当然ながら)
説明書きがあります。
戦後、焼け野原となった日本が復興に向けて上り坂を駆け上がる時期に、文化という面で世界と対等に渡り合えるという自信をつける先駆けとなった受賞です。
一時期隆盛を極めた映画産業も、徐々に斜陽となって大映は倒産してしまいましたが、黒澤明監督をはじめ、いろいろな逸材が撮影した名作は今でも残っています。
アクセス
- 京都市バス「帷子ノ辻」下車、徒歩5分