現存している古墳 見学可能
清水山古墳跡を訪れた後に、「天塚古墳」を訪れました。
「清水山古墳跡」は石碑が立っているだけで、古墳自体は昭和48年(1973年)に宅地開発で破壊されて消滅してしまいました。
「天塚古墳」は現在でも石室内を見ることができ、国の史跡に指定されています。場所は天神川三条から西方向にある住宅街のはずれです。天神川通りと嵐電の交差する踏切の南側にある道を西方向に向かいます。
地図で確認してから行かないと、標識も出ておらず、住宅街の南側なので行き過ぎてしまうかもしれません。
「天塚古墳」では、明治20年(1887年)に多数の副葬品が出土しています。期待感高くなります。
墳形は前方後円墳で、前方部を南方に向けているので、後側の後円部からアプローチする形です。墳丘は2段封土の築造で、墳丘表面からは円筒埴輪が検出されており、墳丘周囲には周堀が巡らされていました。主体部の埋葬施設は2基の横穴式石室からなり、いずれも後円部に構築されています。全長71mあり、この近隣では「蛇塚古墳」に次ぐ規模の大きさです。
「天塚古墳」は6世紀前半の築造で、5世紀後半に渡来した「秦氏」に関わる人物の墓であると考えられています。
また、この「天塚古墳」には「祖霊稲荷」、「養蚕稲荷」である「伯清稲荷大明神(はくせいいなりだいみょうじん)」が祀られています。ご祭神は「宇賀御魂(うかのみたま)」で「白徳稲荷大神」、「白龍稲荷大神」とも呼ばれ、商売繁盛、一家親睦、病気平癒、寿命長久、厄除け、福運、諸願成就のご利益があります。
「古墳+地域信仰」 という何ともパワースポットな「天塚古墳」です。厚かましくもご利益をいただきにお詣りしたいです。
それでは行きましょう。
途中は端折って、住宅街の南のはずれです。
路地の奥に「伯清稲荷大明神」の鳥居が見えます。
ここが「天塚古墳」「伯清稲荷大明神」です。
北側部分は後円部に当たりますが、高さが8mありますので、階段を上ります。
「伯清稲荷大明神」の石碑です。
「天塚古墳」の説明書きがあります。
建物が見えてきます。
「伯清稲荷大明神」の社務所です。
社務所の横にもお稲荷さんが祀られています。
社務所の左方向に階段が続き、東方向に道が伸びています。行ってみましょう。
後円部分の墳丘にはあちこちに石碑が立ち、色々な神様が祀られています。
色々な神様を勧請したのでしょうね。
ひときわ大きな「八幡大神」です。
墳丘の上部に上がれるように階段が設置されています。
後円部頂上から見た前方部です。あちらにも多くの神様が祀られているようです。
後円部から前方部につながる、古墳の東側の通路です。
前方部分に上がる階段です。
上部は広場のようになっていて多くの神様が鎮座されています。こちらの高さは8mあります。
周囲の道を進みます。古墳の南側に出ます。
南側の正面は少しへこんでいます。
南側を通り過ぎ、西側に回り込みます。
お地蔵さんがありました。
その先の社務所の裏側の部分に、開口部があり石室が見えています。
開口部の前には井戸があったのですが、現在は使われていないようです。
2つある横穴式石室の一つですが、「伯清稲荷大神」が祀られています。近づくまでもなくパワースポットだと感じられます。
石室の壁部分は、いろいろな大きさの石がびっしりと積まれています。
石室は少し屈まないと入りにくいです。
石室の一番奥には「伯清稲荷大明神」の祭壇があります。古墳の石室の中というとっても神秘的な場所です。ありがたくお詣りをさせていただきます。
天井の大きな石。こんな巨石を持ってきて、巨大な古墳を気付いたということから、やはり豪族の首長かそれに近い人のお墓でしょう。
石室内から見た開口部の天井部分です。
社務所内にはもう一つ石室があり、こちらも見学ができるそうですが、そのことは帰ってから知ったので、また何かの機会があれば見学させていただきましょう。
「伯清稲荷大明神」については、秦氏の祖神、守護神として、昔から「天塚古墳」に祀られていました。しかし明治20年(1887年)の発掘調査の時に、木島神社に遷移されました。
この時の発掘調査では、「鉄轡(くつわ)」、「鉄製馬具」の破片、「銅鏡」、「勾玉」、「碧玉類」など400点余りが出土し、現在は「京都国立博物館」や「京都大学」に保管されています。
その後、明治31年(1898年)太秦村に住む「九島ちか」に夢のお告げがあり、稲荷神が元の天塚古墳に祀ってほしいと託宣しました。このお告げに従い「伯清稲荷大明神」は「天塚古墳」の石室内に戻されて祀られました。
「伯清稲荷大明神」の石碑から、「九島ちか」と息子の「庄太郎」が宗教法人「御嶽教管轄白清教会」を組織し祭祀したそうです。戦後、昭和21年(1946年)に、「北村岩太郎」が稲荷教を組織して継承したと刻まれています。
古くから存在する古墳が現在もその形を保っており、そこに地域信仰が根付いているというとても良い形だと思います。是非とも、一度見学してみてくださいね。
台風21号
9月4日(火)に近畿を縦断した台風21号の被害を受けました。翌日の5日(水)に用事があって右京区に行ったので、ついでに寄ってみました。
古墳斜面の木々が倒れ、また枝がちぎれて東側の通路が通れません。
東側通路を通って南側には行けませんので、石室を見学したい方は、社務所の右側(西側)を通って、石室に回ってください。
早期の復旧が望まれます。
アクセス
- 京都市バス「太秦天神川」下車、徒歩10分
- 京都市バス「猿田彦橋」下車、徒歩10分