紫雲、棚引く
今日は「紫雲石」を見に行きます。
Google先生に「紫雲石」と尋ねると、「加賀紫雲石(8個入り)・金沢屋」と答えられます。とってもおいしそうです。石川県の銘菓だそうですので、石川めぐりの際にはいただいてみましょう。
どうもWebというやつは、商売っ気の多い項目が順位の上に立ちますね。要するに庶民一般の検索目的は「通販」とか「お土産」がメインになっているんでしょうね。
で、目的の「紫雲石」は京都市左京区の「くろ谷さん」にあります。
「くろ谷さん」と言えば、比叡山の黒谷で修行をしていた法然が、比叡山から降りて初めて念仏を唱えた場所として知られています。承安5年(1175年)比叡山から降りた法然は、きれいな夕日に導かれて小高い丘の上に上がり、大きな石の上に腰掛けます。日想観をして念仏を唱えると、たちまち紫雲が棚引き、いくつもの光が地上に差し込むという霊験あらたかな体験をしたそうです。法然は「これぞ念仏有縁の地なり。」と言って、この石を「紫雲石」と名づけ、この地を念仏道場と定めて草庵(白河禅房)を結びます。
この草庵は、「いくつもの光が地上に差し込む」ということから「光明寺」と呼ばれるようになり、後の北朝第4代後光厳天皇から「金戒」という字を賜り「金戒光明寺」となりました。
なので「紫雲石」は「くろ谷さん(金戒光明寺)」が成立する大元となった歴史的にも貴重な石であります。この霊石は、現在「くろ谷さん」の塔頭である「西雲院」で公開されています。
では行きましょう。
「丸太町通り」の「岡崎神社前」バス停から、ゆっくりと丘を上がります。それほど高くないのでしんどくはないですよ。
「西雲院」の前まで来ました。「紫雲石万日寺」と言います。
仕事帰りなので、もうじき日没です。
「西雲院」の変額です。
境内に入ると「本堂」がすぐ目に入るのですが、平日の日没前なのでもうすでに閉められていますね。残念。「本堂」前の壺のような鉢には蓮が植えられています。6月末から7月にかけて開花します。
「本堂」の南側に「念仏堂」があります。この中に「紫雲石」が安置されています。
なかなか見られないバランスですね。けっこう大きな屋根です。
脇には「ほうねん上人古跡」と石碑が立ちます。
さて、お堂の入り口です。
「照高印道晃」によるとされる「紫雲石」の扁額です。
お堂の中です。
これが霊験あらたかな「紫雲石」です。法然上人がここに腰掛けて念仏を唱えると、紫雲が棚引き光明が差したということです。「光明が差す」というのはなんとなく想像できますが、「紫雲が棚引く」の「紫雲」って、どんなんでしょうか? こちらはあまり想像がつきません。
自分の中で「紫雲」というのは「紫」の印象が強いので、稲妻が中で沸き起こる雷雲を想像してしまいます。違いますよね。もっと穏やかな雲ですよね...
「紫雲石」の縁起が書かれています。
東側の入り口の山門です。こちらの山門の近くには「会津藩殉難者墓地」もあります。
「西雲院」は「金戒光明寺」の本堂などから少し離れているので、あまり多くの人が訪れることもなく、静かなところです。ぜひとも法然上人が悟ったという「紫雲石」を見に来てください。
アクセス
- 京都市バス「岡崎神社前」下車、徒歩12分