角屋 新選組刀傷の揚屋

安土桃山時代から続いた老舗

今回は島原にある「角屋」さんです。現在は「角屋もてなしの文化美術館」として一般に公開されています。

場所はJR嵯峨野線「丹波口」駅の近くです。京都市バスでは五条通りの「京都リサーチパーク前」が一番近いです。

天正17年(1589年)に花街である「柳町」が開かれると、初代「徳右衛門」が「角屋」として「揚屋(あげや:現在の高級料亭)」を営み始めました。その後、2回、花街は移転を強いられるのですが、そのたびに「角屋」も移転して、現在の場所に残っています。

太平洋戦争中には建物の強制疎開が行われたのですが、「角屋」は国鉄山陰線保護のため、取り壊しの予定になっていました。担当者が訪れた際に、明治維新の元勲、西郷隆盛らも利用した遺構であると説明して、取り壊しは一時延期になります。その後、敗戦になり「角屋」は取り壊されることなく存続されたのでした。

角屋 No2

島原の中には、標識があるのでそんなに迷うことはないでしょう。

角屋 No3

ここです。この建物なんですけど、昔からの街並みなので、前の道は狭いです。当時は広かったんでしょうけども、今となっては車1台が精いっぱいです。

角屋 No4

「角屋」の駒札です。

角屋(すみや)

角屋は江戸時代に繁栄した旧花街・島原を代表する揚屋(現在の料亭)で、明治時代にお茶屋業に編入された後も、昭和六十年(一九八五)まで営業が続けられた。
島原は、我が国最初の官許の花街で、最初は二条柳馬場に開かれ、その後、六条三筋町に移転し、さらに寛永十八年(一六四一)にこの地に移された。正式な地名は西新屋敷というが、急な移転騒動が、当時の九州で起こった島原の乱に似ていたことから、島原と呼ばれるようになった。
島原には、揚屋(あげや)と置屋(おきや)があり、揚屋は太夫・芸妓などを一切抱えず、置屋から太夫等を呼んで宴会を催す場であった。
角屋の建物は、揚屋建築唯一の遺構として昭和二十七年(一九五二)に重要文化財に指定された。また、円山応挙・与謝蕪村など、当時の一流画人の作品を多く蔵し、蕪村の大作「紅白梅図」は重要文化財に指定されている。
江戸時代中期には、俳壇が形成されるなど文化サロンとしての役割も担い、また、幕末には西郷隆盛・久坂玄瑞などの勤王の志士たちが、軍用金調達のために時の豪商を招いて会議を行い、彼等を探し求めた新選組が乱舞した場所でもあった。
こうした江戸時代の社交遊宴文化の余香を今に伝える角屋は、現在「角屋もてなしの文化美術館」として一般に公開されている。

京都市

角屋 No5

「長州藩志士 久坂玄瑞の審議の角屋」と刻まれた石柱です。

角屋 No6

当時のたたずまいのままなんですけど、細い線を基調にしているのにしっかりとした建物という印象です。道が狭いので、真正面から写真を撮るとごく一部しか映りません。

角屋 No7

こちらは昔の勝手口?

角屋 No8

「角屋もてなしの文化美術館」の案内です。

角屋 No9

「芹沢鴨」は文久三年(1863年)9月8日に「角屋」で行われた新選組局長クラスの宴会の後、屯所で暗殺されています。

角屋 No10

こちらが「角屋もてなしの文化美術館」の入り口です。正式な玄関口ですね。

角屋 No11

玄関横には「新選組刀傷の角屋」と石票が立っています。

「角屋」が壬生の屯所から近かったこともあり、「近藤勇」などの新選組局長級の宴会もたびたび催されました。新選組は、玄関の刀掛に刀を置かず部屋に持ち込んでいたそうです。角屋での新撰組と勤皇の志士との間での乱闘はなかったのですが、緞子の間、青貝の間に3カ所、前庭の柱などに新選組によるものという刀傷が残っています。

ただ、新選組は「角屋」ではあまり上客ではなかったようで、文久3年(1863年)6月、新選組初代筆頭局長の「芹沢鴨」は乱暴狼藉を働き、角屋主人に7日間の閉店を申し付けていますし、慶応2年(1866年)にもお代を払わなかったため、10代「徳右衛門」は一カ月間の営業休止を行っています。

この「芹沢鴨」は、上にも書きましたが、「角屋」での宴会の後に暗殺されています。文久3年(1863年)9月16日、真選組は「角屋」で宴会を開いたのですが、その後、「芹沢」らは、芸妓と屯所の「八木邸」で再び宴を開きました。そして、その深夜、寝込みを襲われて暗殺されてしまいます。刺客の中には「土方歳三」、「沖田総司」らも加わっていたとかで、完全な仲間割れですね。

「角屋」は、明治5年(1872年)まで「揚屋」として営業した後、お茶屋となり、昭和60年(1985年)まで「松の間」を宴会場としていました。

私も「角屋もてなしの文化美術館」には入ってみたいのですが、入館料もかかるのでちょっと躊躇しています。いつか機会があれば訪れましょう。

アクセス

  • JR嵯峨野線「丹波口」駅から徒歩5分
  • 京都市バス「京都リサーチパーク前」下車、徒歩7分

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