妖しいモニュメント?
今回は、ちょっと変わったモニュメントの紹介です。墓場の中の「塚」なのでモニュメントというと怒られそうですが、見た目はモニュメントのように見えます。
そのモニュメントの名前は「傀儡塚」といいます。
「傀儡」という漢字は「かいらい」と読むことが多いですね。歴史で習う「傀儡政権」という言葉ぐらいしか、「傀儡」という文字を使うことが無いように思います。ところが一時期流行ったアニメで「傀儡」を「くぐつ」と呼んでいたことから、少しは世間でも知られるようになってきたのではないでしょうか。
もともと「傀儡」とは「操り人形」を指す言葉で、その「傀儡」を操る人を「傀儡子(くぐつ)」と呼んでいました。古くは「傀儡師」、「傀儡女」と呼ばれ、散楽(奈良時代に大陸から移入された大衆芸能)などの技芸を披露し諸国行脚した芸能集団を指します。平安時代には雑芸を演じていましたが、特に9世紀以降は人形を操ることが多くなり、「傀儡」=「操り人形」というふうに定着します。
この「傀儡塚」があるのは、何回も登場している「金戒光明寺」です。塔頭である「西雲院」の前にあります。
それでは行ってみましょう。
「丸太町通り」の京都市バス「岡崎神社前」のバス停を降りて、「岡崎神社」の左側にある細い道を「金戒光明寺」に向かいます。
南門を過ぎて、どん突きになるまで行くと、右手に階段が続いています。階段を上りましょう。
「三重塔」に向かう階段ですが、真ん中あたりに「西雲院」へ向かう道が左手方向に延びています。
夕暮れ時でお月さんも出てきました。
京都タワーのライトアップも始まっています。右下の鳥居は美術館前にある平安神宮の一の鳥居です。
「西雲院」へ向かう道から見た「三重塔」です。少し離れましたね。薄暗くなってきました。
電燈も点いています。もうじき「西雲院」の山門です。と、右手に...
夕暮れの中で見ると、一瞬ドキッとしました。
周りがお墓だらけなので、ちょっと異様な雰囲気でもあります。昼間に見るとまた印象が違っていたのかもしれません。
駒札があります。
さて、なぜこの「傀儡塚」が「西雲院」にあるのでしょうか。
この「傀儡塚」を建立したのは「水田外史」という手遣い人形劇の第一人者として生涯現役を全うした方です。若くして人形遣いに魅せられ、自ら「ガイ氏即興人形劇場」を創立し、生涯にわたって理想の人形劇を追い求め続け「芸」に対して妥協のない姿勢を貫いた方です。
一方、「西雲院」の住職であった「家田隆現」は人形劇団「ゆりかご」を創立して幼児教育を行った人です。その縁で「傀儡塚」が建立され、「くぐつ祭り」が営まれてきました。
現在では、両人ともお亡くなりになられており、毎年11月15日には「くぐつ忌」が営まれています。人形劇の奉納などもあるようなので、興味のある方はお参りしてみてはいかがでしょうか。
アクセス
- 京都市バス「岡崎神社前」下車、徒歩8分