よく見れば
嵐山の渡月橋には背の高い外灯が立ってないんですよね。
現在の形に整備された時に、景観上の問題から、橋の上にニョキニョキと生えた外灯は却下されてしまいました。さすが京都の観光地。
渡月橋の写真がなぜきれいなのかというと、やはり昔の渡月橋の形をうまく残しているからなんですよね。その橋の上に、現代的な街路灯なんかもってのほか、と考えられたようです。
結果、事故多発。
夜だからと言って車が通らないわけではないし、バスだって通ります。歩行者も橋上で道を横断することもあります。
それと長い橋なのに真っ暗というのは、心理的にも良くないですよね。犯罪の温床にもなるし、まして有名な自殺場所とでもなれば、観光に対するダメージは計り知れないものがあります。
で、地元では、なんとか灯りを点けようということになったのですが、なかなか申請が通るわけでもありません。そんな中で、「嵐山保勝会」が目の前の大堰川の水を使った水力発電によって電力を賄うということで、許可が下りました。水力発電は地球温暖化防止にかなってますね。
で、渡月橋に「発電所」を作るわけです。
京都民が発電所と聞くと、まず最初に思い浮かぶのは宇治の天ケ瀬ダム。しかし、嵐山にこんな大きなものを作るわけにはいきません。
まずは渡月橋あたりに行ってみます。
上の画像は渡月橋から100mあまり上流に歩いたところです。もう見えていますよ。
もう少し近づきました。発電所、わかりますか?
取水口が2か所あるのですが、上の画像の右側です。
これが目的のマイクロ発電所です。かわいい大きさですね。最大出力5.5kw(平常4.3kw)が発電できるそうです。
これだけで発電ができてしまうんですね。渡月橋の灯りだけなら、天ケ瀬ダムほどの大きさはいらないでしょうし。
渡月橋北詰めのすぐ上流にある水力発電所の案内書きです。現在0.04kw発電していますね。平成16年度の「京(みやこ)エコロジーセンター」の「環境先進モデル事業」として建設されました。
では、どんな灯りなのか、渡月橋に行って見てみましょう。
渡月橋ですよ。
朝一番の写真です。明るくなっているので小さなLEDランプのみが点いていますね。
夜間はこんな感じで歩道上の足元を照らしています。太陽光発電の方が建設コストや維持コストは安いのですが、天候に左右されると照明としての機能が果たせませんね。それと目の前には豊富な水量の大堰川があるので、それを使わない手はありません。
環境にも景観にも配慮した現代的な照明設備が整っています。夜に渡月橋を歩くことがあったら、周りの夜景ばかりではなく、足元の小さな外灯にも目をやってください。
アクセス
- 京都市バス「嵐山」下車、徒歩3分