材木で栄える
以前、「西高瀬川」の取水口付近と嵯峨野あたりの様子を紹介しました。
上の記事にあるように嵯峨野の方では、畑も残るのどかな風景の中を流れる「西高瀬川」でしたが、もっと京都の中心部に入ってくるとどうなるのか? という疑問もあり、少しだけ「西高瀬川」沿いを歩いてみましょう。
で、かつての「西高瀬川」で一番賑わったであろう所はどこか? と、ちょっと調べてみましたよ。「西高瀬川」は、もともと丹波地方で伐採された材木を、渡月橋から京都市内まで水運で運ぼうとして開削された運河です。その材木の終着場所はどこなのかと調べると、やはり千本三条辺りが一番多かったようです。
では、「千本三条」辺りから歩きましょうか。「千本三条」は変則的な交差点で、京都市内でも珍しい斜めの道である「後院通」の始まりとなるところです。その「千本三条」から東側が、私の好きな「三条商店街」で、西側が細い「三条通り」です。この「千本三条」から「西大路三条」までの「三条通り」は昔から道幅が狭く、渋滞ばかりで車乗りには不評な通りでした。その不評な「三条通り」の区間を歩きます。
「千本三条」の交差点が整備されたのは、JR嵯峨野線の「二条駅」周辺の整備が行われたときです。この画像で、高架となっているJR嵯峨野線の右側も左側も国鉄の貨物列車の操車場となっており広大な土地だったんですよ。
で、その高架の真下、「三条通り」の南側歩道の横に「西高瀬川」が流れています。上の画像では、右方向に曲がって(南に)流れていますね。下流に行けば鴨川までつながっているんですけど、こちらはまたの機会に。
さて、反対の西方向を見るとこんな感じです。割合と幅の確保された運河ですよね。でも、以前にBlogで紹介した「渡月橋」の西側からの取水量と比べると、全然水が流れていませんね。実は「西高瀬川」は、全長15.4㎞の途中で「天神川」にぶった切られて、「天神川」以東はほとんど水が流れていません。雨が降った後などにちょろちょろと流れる感じです。
この辺りが材木の集積地であったことは、今でもここに「京都材木会館」があることなどから分かります。二条駅の西側は、南の方は四条通り近くまで多くの材木屋さんがありました。
「西高瀬川」沿いに駒札が立っています。「西高瀬川」の水運は国鉄山陰線ができてから衰退します。国鉄の貨物で運搬し「二条駅」で荷下ろしする様になるんですね。そのために「二条駅」には貨物用の大きな操車場が必要になったのでした。
西の方を見るとこんな風。「西高瀬川」を渡って敷地内に入るための橋がいっぱいならんでいます。
以前は使われていたけど、駐車場の出入り口変更などで使われなくなった橋もそのまま残されています。
で、「三条通り」をどんどんと西に歩いていくと「西高瀬川」は「三条通り」の下に潜り込んでいます。ここからは「三条通り」の北側を流れるんですよね。
ところが、「三条通り」の北側には「西高瀬川」が見当たりません。あれれ。
西へ西へ歩いて行っても見当たりません。実は暗渠となっていて、上の画像では歩道となっているところの下を流れています。う~ん、残念。
でも、暗渠だと言ってぼーっと歩いていてはいけません。「西大路三条」が近くなってきたところで「三條橋」「西高瀬川」の橋の親柱が残されていました。古い親柱ですね。これ「西大路通り」にあったやつでしょうか。
次の信号が「西大路三条」です。
振り返って東を見るとこんな感じです。
「西高瀬川」で一番賑わった辺りを散策してみました。材木屋さんがたくさんあった痕跡も残ってますし、暗渠となっていない「西高瀬川」にもお目にかかれました。機会があれば「西高瀬川」と「天神川」の交差しているところも見に行きましょうか。
アクセス
- 京都市バス「千本三条・朱雀立命館前」下車、徒歩2分