サカサマ峠
山歩きをするようになると、有名どころからどんどんとマイナーな所へと目が移っていきます。同じところばかり歩いても飽きてくるので当然のことなのですが、そうなるとどこから情報を仕入れるか?ですよね。
昔は本屋さんに行って、山やハイキングの本を探したのですが、現代ではやはりYAMAPとかヤマレコなどのWebサービスの中から、他人さんが行っている「しろうとから、ちょっと毛が生えた程度」の所を検索し始めます。
私も同じように検索するのですが、時々、興味をひかれるような名前の所に出くわします。少し前から気になっているのが「サカサマ峠」。他の方が書いているレポートの中に出てくる地名です。
「サカサマってどうなってんのやろ? つーか、何がサカサマ? 真っ逆さまに落ちていくような峠? 景色がサカサマ? 気になるなぁ。」
ある休みの日、暇な時間ができたので思い立って検索開始。
まずは、Google先生に聞いてみた。
わし「サカサマ峠ってどこですか?」
Google先生
「どや?」
わし「...。」
「サカサマ峠」という名称が出てきませんが(記事執筆現在)、Google先生によると、どうもこの辺りにある様子。でも、いまいちよくわかりません。
で、餅は餅屋のヤマレコの地図を見たのですが、「サカサマ峠」という文字は出てきませんでした。
ならばということで、今度はYAMAPの地図を見てみると...
おお、出てきたではありませんか。
さすがYAMAPは庶民の味方ですね。
んで、今までの先生方の情報を集約すると、「愛宕山の北の方、竜ヶ岳の近所」ということになります。
では、何がサカサマなのか探しに行ってみましょう。決行の日は6月17日(水)、梅雨の中休みの良い天気の日でした。
最短コースで...
今回は、まだ行ったことのないところを探しに行くので、その近所までは体力を使わず、一番時間のかからない交通手段でアプローチします。
やっぱりJR八木駅からバスで樒原まで行くのが良いようです。
現在工事中のJR嵯峨野線「八木駅」です。鉄骨を組み始めていますね。
仮駅舎。ただ今午前8時過ぎ。
京阪京都交通バスの43系統「原」行きに乗ります。
8時24分発です。いつものごとくガラガラの貸切状態。
バスは気持ちよく八木町の中を走っていきます。ガラス越しの「三郎ヶ岳」。ここもそのうち登ります。
ま、途中は今まで何回か書いてるので端折って、愛宕神社の参詣道入り口です。
今日も無事帰ってこられるようにとお地蔵さんに手を合わせます。
その横になんか花が咲いてますよ。きれいな紫色ですね。
帰ってきてからよく見ると、後ピンでした...うはは。
この時期、けっこういろいろな花が咲いているんですね。
さて、山道に入りました。気象庁は梅雨入りしたというのですが、まだそんなに雨も降りませんし、気温も低めで歩きやすいです。
だいぶんと色濃くなってきましたが、若葉がきれいな季節です。
通称「ジープ道」を登って行きます。いつ来てもふくらはぎがパンパンになるような急こう配が続きます。
植林中の斜面に出ました。もう少し先の林に突入する手前で休憩を取ります。
今日は爽やかないい天気になりました。
雲は流れるのですが、曇ったままということはありません。水分と少しのパンを摂ってまた歩き出します。
やはり緑がきれいです。実は写真いっぱい撮ってます。時間のロスですけど、この時期にしか写せない緑に出くわすとついつい撮りたくなりますね。
登りも佳境に差し掛かりました。
疲れると緑が目に入ります。
なだらかな登り勾配になりました。
色々な景色が楽しめるのでこのコースは大好きです。
スロープも草が生えて冬の雪景色とは全然雰囲気が違いますね。
今年も台風来るかな...頑張ってくれよ。
真ん中の山は「牛松山」です。
さて、見晴らしのいい場所を過ぎた後はあまり高低差の無い林の中を抜けていきます。
きれいに手入れが施されています。
「旧愛宕スキー場跡」の看板。
スキー場跡も緑がきれいでしょうけど、今日はパスして「サカサマ峠」を目指します。
まずは竜ヶ岳へ
愛宕スキー場跡の看板から少し歩くと...
お。やっと出てきました。
道なりに(上の画像では右方向)行くと愛宕神社です。で、その方向に「首なし」とありますが、これが目的地の「サカサマ峠」辺りです。つまりもう少し先に分岐点があって、そこから「サカサマ峠」へ向かうのが一番行きやすい方法なのですが、その道は「サカサマ峠」からの復路に使うとして、往路はここから「竜ヶ岳」へ向かうことにします。
90度の方向には「竜ヶ岳入口 山頂 30分」と書かれています。こっちから「竜ヶ岳」経由で「サカサマ峠」に向かいましょう。はじめて歩く道で心ウキウキです。
暫くは斜面を横切るような道が続きます。なんか視覚的に歩きにくいですね。
途中、標識などはないのですが、なんとなく道ができているので迷うことはないと思います。
こんな風に道が右と左に分かれていても、少し先で合流しているので、尾根に近いところを歩いていると間違うことはないでしょう。
そうこうしているうちに、道は登りになってきます。
お、なんか発見。
唐突に、小さな広場に出ました。
「竜ヶ岳 921m」の山頂です。なんかあっけないくらいスムーズに到着してしまいました。
あまり広くないのですが京都市内が展望できます。
いまからぐるっと一周廻って向かう「愛宕山」の頂上が見えています。ただ今10:50です。パンを食べて水分補給。少し落ち着いたので出発しましょう。ここからは下の方にある沢に降りていきます。
いつもながら とんでもない下りを下りる
地図を確認すると、ここから先は等高線がむちゃくちゃ詰まってます。
まだ山つつじが咲いていますね。
すぐに道が二手に分かれます。左の道は距離を取って少しでもなだらかな傾斜の所を歩く道のようです。私は下る方なので、右方向の道で最短距離で真っ直ぐ降ります。
地図で見て分かってはいたのですが、急斜面です。
怒涛のごとく下がっていきます。ひょえーと言うぐらい傾斜が急です。こりゃあ、登るとなると泣きが入りそうです。道自体はよくわかる方です。道が途切れたら少し戻るとすぐに正しい道がわかります。
尾根に沿うように降りてきたのですが、目の前でほかの道が横切っています。地図を確認すると、左に行けば先ほどの分岐点まで登って行くようです。右方向の道は地図に載ってませんでした。
で、どっちへ行くのかって?当然直進ですよ。
もうね、こんな細い尾根なんですけど、それでも道は続きます。
ちょっと登ったと思うと、今度はまた怒涛の下り。
落石起こさないように慎重に降りていきます。
道がはっきりとしてきました。なにか聞こえてきます。
沢が見えてきました。水の音でした。
もう少しで到着。
下の沢に降りましたよ。むっちゃ涼しいですね。なんか別世界です。いやぁ、やっと降りましたよ。ほっとします。
沢沿いに歩くのですが、すぐに分岐しています。地図を見ると右が正解です。
2,3日前に雨が降ったのですが水量はそんなに増えていないようです。大雨の後は歩きにくいでしょう。
しかし涼しいです。交通の便が良ければ避暑地に最高ですね。
あれ、なんか見えてきました。
山小屋のようですね。
「龍の小屋」とあります。荒天時の避難場所でしょうか。
バスを降りた後に写真を撮った(後ピン)花と同じ花なのでしょうか。さっきのは花が一つだけでしたが、これは気持ち悪いぐらいにいっぱいです。
「龍の小屋」からは歩きやすい林道です。車も入って来れそうですね。
ぼーっとして歩いていてはいけません。ここ分岐です。とっても見落としそうですよ。
右の細い支流の方に分岐して歩いていきます。
この辺りも整備された杉林です。
小川と並行して山道を歩きます。
ところどころ湿地帯になってます。
穏やかな表情で流れていますが、大雨の後はけっこう増水して道まであふれそうですね。
カエルの卵かな?
サカサマ峠
道がはっきりしているので地図をあまり見ないで歩いていますが、目標の「サカサマ峠」はもうすぐです。
しばらく歩くと、流れは右の方に曲がり山の中の方に行ってしまい、山道は左の方に緩くカーブします。
ほんの少し登り道があって...
出ました! 正面に立札や石像が見えます。
愛宕山周辺に設置されている「山の案内図」です。ここは①の「首なし地蔵」のようです。
こ、これか。みなさんの記事に出てくる「首なし地蔵」。明治の廃仏毀釈で壊されたのでしょうけど、それでもお地蔵さんは静かに京都市内の方を向いて座っています。
やっと「首なし地蔵」まで来たぞ!
ということはこの辺りが「サカサマ峠」?
京都市内の方を見ます。一応、市内が見えていますね。よくわからないので、近くの⑦「愛宕神社参道入り口」まで移動してみましょう。
⑦に向かう途中です。ここからの方が良く見えます。
すぐ近くなのであっという間に⑦の「愛宕神社参道入り口」まで来ました。ここは参道といっても「裏参道」の方です。
こんな広い林道があります。高雄方面につながっています。ここら辺をつぶさに見てみましたが、「サカサマ峠」の由来に関係ありそうなものはありません。ただの「参道への分岐点」でしかありません。
仕方ないので「首なし地蔵」に戻ります。
「首なし地蔵」から「梨木大神」の方に降りていく「梨の木谷林道」です。現在倒木が多くて、通行が困難です。実はこっちの方も気になっているんですよね。入り口の変だけちょっと歩いてみましょう。(上記間違いでした。梨の木谷林道への降り口は手前の朽ち果てかけた木の矢印があるところでした。)
ま、こんな倒木は倒木のうちに入ってませんね。
こっちからも京都市内が見えます。でも「サカサマ峠」の由来はよくわかりません。
確かにここから下の方に谷が続くのですが、「サカサマ」というほど急な感じでもないし、「梨の木林道」が「サカサマ」に落ちるほどの急な林道なんでしょうか?
ウロウロしていろいろ探しましたが「サカサマ」の由来は不明のまま。なんか、モヤモヤしますね。せっかく来たのですが、なぞは解けずになぞのまま。
ま、仕方ないでしょう。もうお昼ですし愛宕神社の方に向かいましょう。
裏参道
水分補給したら出発です。
今度は「裏参道」を歩きます。
「参道」という名前がつくぐらいですから歩きやすいです。愛宕神社に向かってなだらかな登りが続きます。ま、今まで怒涛のように下ったんですから、当然登らないと元の高さにはなりませんな。
おお、良い景色に出くわしました。右の方の高い山は「比叡山」です。
今日はとってもいい天気。山歩きにはもってこいですね。休みの日、こんなに良い天気に恵まれて幸せです。
しばらく歩くと、また景色の良いところに出くわしました。京都市内も良く見えます。ここでお昼ご飯にしましょう。しばし休憩です。
満腹になったのでまた裏参道を歩きます。
愛宕神社が近づくにつれて、少し道が険しくなります。
少々の岩登りもあるのですが、そんなに難しいこともありません。
一応、タイガーロープを設置しています。
また「山の案内図」ですね。
②の「首なし地蔵方面下山口」となっています。地図を見ると、ここのすぐ横に「石切り場」と書かれたところがありますね。ちょっと行ってみましょうか。
広場になっていて建物があります。
広場と言っても、整備された時から時間が経っておりあちこちから木が生えています。
北方面の見晴らしは格別ですね。
戻って愛宕神社を目指しましょう。
上の画像の右側から歩いてきたのですが、地図を見ると左の所を少し登ると小さな山頂があるようです。景色良いかな? ちょっと登ってみましょう。
残念でした... もどって愛宕神社を目指しましょう。とほほ...
もうじき、最初に歩いていた「ジープ道」に出るはずです。
でましたよ。
いつも歩いている「ジープ道」にあるお地蔵さん達。ここから愛宕神社まで20分ほどです。
左手に京都市内の景色を見ながら歩きます。
もうほぼ水平に伸びた道なのでとっても楽ですよ。
「月輪寺」や「大杉谷林道」の分かれ道です。
今までは植林された杉が多かったのですが、この辺りは愛宕神社に近いので杉も巨木になってきます。
愛宕神社の前の石段の所に出ました。この石段を上ったところが本殿です。今回は前を通るだけでとっても失礼になるのですが、休憩だけさせていただきます。
休憩所もガラガラ。
天気もいいので休憩所ではなくて、境内の木のベンチでゆっくりさせていただきます。先ほど昼食は済ませたので、今回はおやつと水分補給だけです。
今日も「つつじ尾根」から帰る
6月というのに爽やかな晴れ。
良い天気なのに誰もいません。平日だからでしょうか。それとも新型コロナウィルスのせい?
では神社の方に一礼して下山します。
今度は表参道を下って行きます。
「黒門」まで来ました。快調に下ります。
6月なのでシダがきれいですね。
参道横のお地蔵さん。今日はあんまりつかれていないので、写真をゆっくり撮ってる余裕があります。このお地蔵さんの所から、少し道を外れて南の方に行くと景色の良いところがあります。
少しかすんで見えにくいですが亀岡方面の景色です。
手前の低い方の山が「唐櫃越」の「みずき山」です。
「嵐山」と京都市内。遠いところは少し霞んでますね。
さてより道はこのぐらいにしてどんどん下りましょう。
表参道の途中からもところどころ景色が開けます。
「ハナ売り場」が見えてきました。
水尾の自治会が運営しているバスの時刻表です。週3回になってますが、現在もまた変更されてますのでWebで検索してくださいね。
私は乗ったことがないのですが、アスファルトの道を歩くのが苦痛な人はご利用してください。
「水尾別れ」の小屋まで来ました。つつじ尾根に行くので「清滝」方面に下ります。
次に出てきた「清滝」方面の看板。ここは道をそれて右の方に下ります。
「荒神峠(長坂峠)」を越えて「つつじ尾根」から「保津峡駅」に向かいます。
この道も、Blogでは何回も紹介していますね。まずは怒涛の下りからです。
「荒神峠(長坂峠)」まで下りてきました。
休憩用の丸太が置かれています。ちょっと水分補給しましょう。
もう何回写真を撮ったかわからない「荒神峠(長坂峠)」の案内書きです。
ここを下りてきたんですよ。怒涛の下りでした。ちなみにここを上ったことはありません。しんどそう...ただそれだけの理由。
さて、「つつじ尾根」を歩いて「保津峡駅」に向かいます。
シダがきれいですね。こういうなんでもない植物の緑がきれいな時期が大好きです。
夏前で緑色が徐々に濃くなってきていますね。
尾根にある湧水。この辺りだけ、けっこう粘土質な土になっていて、水たまりができているところがあります。多分、動物たちがよくやってきていることと思われます。
さすがにこの時期になると「つつじ尾根」の山つつじは散ってしまって咲いていません。
さて、また怒涛のの下りです。こっから先は崩れやすいガレ場の下りなので気を付けないと尻餅をつくことになります。もうそれはそれは、ズルズルと滑ります。
JR嵯峨野線の「保津峡駅」です。
ズルズルズル...うお~。
下の道が見えました。
やっとお降りましたよ。ここも登ろうという気にはなれませんね。軟弱者ですから。ま、そんなことより「保津峡駅」に急ぎましょう。あと10分ほどで下り電車が来ます。
「落合橋」を渡ります。以前、猿に威嚇されたので用心して辺りを見回しますが、今日は静かですね。よかった。
いま、あの山の上から降りてきたんですよ。ズリズリと。
「保津峡駅」到着です。ホッとします。ここにも誰もいませんよ。
下り線のホームに向かいます。
まだ2分ほど時間がありますね。間に合いました。下手すると30分ぐらい待たなくてはいけないことがあります。
「サカサマ峠」の由来はわからなかったけど、気になっていた場所に行けたので満足です。ほんでもって、今回は崖から落ちたり、川にはまったりという危機的状況が無く安全に帰って来れました。読んでて期待外れだったでしょうか? いやぁ、いつもいつも危機的状況ばかりではこっちの身が持たないですからねぇ。
アクセス
- 愛宕神社から徒歩で50分程度