ここが稲荷信仰の幕開け??
一時期、京都の神社の中でブームになった「晴明神社」。当時に比べると少しブームは去った感じがしますけど、まだまだ観光に訪れる人は多いようです。
で、「晴明神社」といえば堀川一条なんですけど、なんと私の住む亀岡市にも「晴明神社」があるんですよ。あんまり知られていませんけど...
なので、5月のゴールデンウィークに歩いてきたときの写真で紹介しましょう。ここしばらくBlogで亀岡ネタが多いんですけど、緊急事態宣言中なので出来るだけ人のいなさそうなところばかり、また出来るだけ公共交通機関を使わなくていいところばかり巡ってますのでご了承ください。
日本人として当然のことながら、不要不急の外出は極力避けているんですけども、ずっと家の中に居ると運動不足やストレスフルな状態になってしまうので、人のいなさそうなところを歩いています。ゴールデンウィークは5連休が取れましたので、天気の良い日にはウォーキングをしていました。
そういえばしばらく「西山」に登ってないのでいっちょ行ってみるか。と朝から用意して出発。亀人が「西山」という山は、正式には「安行山」という山で、山頂に「磐榮(いわさか)稲荷宮」と「展望台」、山腹に「平和塔」や散策路などがあるファミリー向けのハイキングコースみたいなところです。はっきり言って山は低いです。山登りをする人には全然物足りないでしょう。でも、未就学児童でも登れるほどの山なのでお弁当もちにはもってこいです。
登り口はいろいろあるのですが、私は「京都府南丹広域振興局」の前の所から登りましたよ。
「広域振興局」の前の所から「大池」に沿って山の方に向かいます。どん突きを右に曲がってどんどん進むと「大池」の裏側に出るんですけど...
ここが登り口です。
鳥居があるのですぐわかります。
「安行山 磐榮稲荷宮」と立派な石碑が建ってます。
で、どんどん登って行きます。
鳥居が続きます。
けっこう日差しが暑く感じて、日陰に入るとホッとします。
実はこの鳥居、現在はぽつぽつとしか残ってないんですけど、昭和の景気のいい時には京都のお稲荷さん(伏見稲荷大社)みたいにズラ~ッと連なっていたんですよ。
でも、時代と共に老朽化し、台風で倒れ、そのあと修復されずに数がどんどん減ってしまいました。当時であればインスタ映え間違いなしの千本鳥居だったんですけどね。
ほどなく分かれ道が見えてきました。
右に曲がったところが「平和台公園」の記念塔がある広場です。
「平和塔」です。毎年、戦没者の慰霊祭が行われます。ちょうど飛行機が飛んできました。
広場から見える亀岡市街。白い大きな建物は市役所の庁舎です。その手前の小さな白い建物が警察署です。
少し右手の方を見ると「サンガスタジアム」と「亀山城跡(大本教本部)」の森が見えます。
左手の方にはこのBlogで何回か紹介した「行者山」と「千手寺」が見えています。
そうそう、山の紹介も忘れてはいけません。左手の手前の山が「牛松山」、その左に小さく写っているのが「地蔵山」です。で、正面で一番高い突起が「愛宕山」です。
もう少し右手保津峡の谷間の左側が「明智越」、右側が「唐櫃越」です。
ま、登りましょうか。
道はほぼコンクリート舗装です。しばらく続きます。
振り返るとこんなん。そよそよと涼しい風が抜けて行きます。
少し平坦になった後、最後の登りです。
道の右側に鳥居と神社。もう境内の入り口に近いところまで来ました。
むぅ~...読めません...近づいてよく見ると「鏡岩大神」と刻まれているようです。ここが稲荷伸の降臨した場所ですね。(ここから日本のお稲荷さんが始まった?? 後述)
もうすぐそこです。
到着ですよ。
境内にも鳥居やお社、神社の御神体である石のお社などが所狭しと鎮座しています。
ぱっと見ると、一瞬お墓かと思うのですが...
立派なお社ですよ。
木で作ったお社よりは長い年月風雨に持ちこたえそうですね。
「文助大明神」とあります。ご先祖さんを信仰の対象にしているような感じですね。
「薬力大明神」とあります。これは薬の神様ですね。
色々な信仰があるようです。
お稲荷さんですね。
鳥居が3つも並んでいます。
ちょうど青もみじがきれいな時期です。新緑が目にまぶしいぐらいです。
さて、「手水舎」でお浄め...水がありませんでした。コロナ対策かな。
こちらが一番大きな「磐榮稲荷宮」です。
朱色が鮮やかです。
おお、凛々しい。
むっちゃ美形のキツネさんですね。
ま、まぶしい...
「安行山 稲荷宮」の神額です。
無事にここまでこれたことに感謝します。
さて、もう少し境内を散策します。
まわりとは少し雰囲気の異なる建物。
お不動さんでした。
そういえば、登り口に「安行山 磐榮神社」とありましたね。「安行山」というのはこの山の名前なんですけど、何となくお寺を表しているような印象です。
境内の端の方にある「磐榮稲荷宮発祥之地」の石碑。
その近くには、ほんとに昔から祀られていたような社のような石がいくつもあります。
池があります。造園工事中のようでユンボなどがありましたよ。どんなになるんでしょうね。
晴明神社
さて、今回のBlogの目玉です。
ここまで「磐榮稲荷宮」とたくさんの摂社、末社を紹介してきましたが、今回の目的は「晴明神社」です。この木の下に鎮座しています。
じゃじゃ~ん。ここですよ。 周りの朱塗りの鳥居と違って、ここは白木の鳥居。これだけで、ここは別格だと言ってるようですね。
まさに「拝殿」。
家に帰ってから写真を見ていて見つけたのですが、瓦に☆のマークがありますね。
珍しく「鈴緒」がありますね。コロナ禍で取り外してる神社が多いのですが。
ご神鏡です。
さて、この亀岡の「晴明神社」のことを少し調べてみました。
「安倍晴明」から5代目の子孫にあたり、晴明に次いで名声を得て天文権博士になった「安倍泰親(やすちか)」という人がいるのですが、その子に「安倍泰成」という人がいます。そのまた子の「安倍安行」がこの地に住んでいたそうです。(晴明から7代目ですね。安行の記述があるのは1150年頃のことです。)そこからこの山が「安行山」と呼ばれたようです。その後、長らく「安倍安行」に関する神社はなかったのですが、昭和初期に「晴明神社」が勧請されました。Webで調べましたが、なぜその時に急に「晴明神社」が勧請されたのかはわかりませんでした。
さて、この「安倍安行」はこの地に住んで陰陽道を行い、この山の木から筮竹(ぜいちく)を作ったり、街道沿いに「承文字(しょうもんじ)八幡宮」を創建したそうです。なので、この西山のことを「算木山」ともいうそうです。その他には「安行」に関する記述は残っていないようです。
「磐榮稲荷宮」の方は和銅2年(709年)に「神奈備山(安行山:西山のこと)」の「鏡岩」に、稲荷神が鎮座し、社として祀ったことに始まるとの記述があるそうです。一説によると、この地はもともと秦氏の勢力下であったそうですが、安行山の南側にある「医王谷」に「丹波康頼」という医者が住んでいました。「丹波康頼」は現存する日本最古の医書である「医心方」「磐榮稲荷宮」を厚く信仰し、神社を秦氏の拠点であった太秦に遷移しました。ところが稲荷大神の神威がことのほか強く、現在の「伏見稲荷大社」に遷移したという説があるそうです。なので「磐榮稲荷宮」のことを「元稲荷」とも呼ぶのだそうです。
「丹波康頼」が「医心方」を朝廷に献上したのが永観2年(984年)で、「伏見稲荷大社」の創建が和銅4年(711年)といわれているので、「磐榮稲荷宮」が「伏見稲荷大社」の「元」であったというのは少し信憑性が低いと思われます。
で、どちらの神社も昭和初期に西山に勧請されたのですが経緯は不明です。
この近くの亀岡市下矢田には「晴明」が建立したという「法楽寺」があったり、安行が信仰したという「承文字八幡宮」があったりと、陰陽道とつながりの深い地域であったようです。
上に書きましたが、社伝によると「磐榮稲荷神社」は和銅2年(709年)に「神奈備山」の「鏡岩」に、稲荷神が鎮座して始まったことから「日本最初の稲荷」であるとのこと。霊験あらたかなことは間違いなし。こんな由緒ある神社が亀岡市にあるとは思っていませんでしたよ。なんかもう、古代のロマンを感じて心わくわくです。もしかして、ここが日本の稲荷信仰の発祥の地なのかもしれないんですよ。
山頂にはこんな鳥居もあります。電球がいっぱい取り付けてあって、夜になると大文字のごとく暗い夜空に鳥居のマークが浮かび上がります。最近、見てない気がするんですけど、電飾やめてるのかなぁ?(未確認ですんません...)この鳥居は昭和40年に亀岡市市制10周年を記念して建てられたそうです。
何回も登場しますが、新緑まぶしいです。目の保養になるでしょ? 展望台に行ってみましょう。
平和台公園(西山山頂)の展望台です。2階建て構造になってます。やっとここで人を発見しました。ゴールデンウィークですからねぇ。
それ、登れぇ~! (ちょう遠足気分)
おお、さっきの「平和塔」よりも少し高くなりましたね。 「やっほ~。」(おっさんが叫ぶなや)
道の駅「ガレリアかめおか」です。
行者山と半国山。
鳥居の電球もここの方が良く見えますね。
展望台といってもあまり広くありません。
今日は愛宕山、人いっぱいやろなぁ。ゴールデンウィークやし。
今度は1階ぃ~! ガンガンガンガン(階段下りる音)
おっさんがはしゃいでドタバタするので家族連れは逃げていったようです。悪いことしたなぁ...
さて、日陰でちょっと休憩です。このあと西山の反対側に降りましょう。
中山池
私は「西山」の東側から登りましたが、西側からも登れます。私は今、山頂から西側に降りてきたので、もう一度登って東側に戻ります。
西側の登り口はここ。京都縦貫道「亀岡IC」のすぐ横です。
ちょうどフジがきれいな時期です。
もちろん野生のヤマフジですよ。
「ノムラモミジ」でしょうか、「出猩々(でしょうじょう)」でしょうか? (出猩々はこんなに大きくならないのかな)
ツツジの花も満開。
じつは亀岡市の制定している「市の花」はつつじなんですよ。
お地蔵さん。
と、まぁ、いろいろ写真撮ってますが、まずは道案内。
京都縦貫道「亀岡IC」の交差点(国道423号線)から、縦貫道の京都方面入り口のまだ左にある市道を山の方に上がってくると、左側に「磐榮稲荷宮参道入り口⇒」と書かれた札があります。ここが車での登り口になります。その登り口を越えると次に駐車場が出現します。(これも左側です。)ただの広場なので無料です。(一応、平和台公園の駐車場です。お世辞にもピッカピカとは言いませんが公衆トイレもあります。)その駐車場をまだ越えて急坂を上りきったところが「中山池」です。
車の登り口からでも「中山池」の横の道からでも「磐榮稲荷宮」へ行くことができます。
「中山池」の堤防です。この先が「磐榮稲荷宮」に続く散策路になっています。
この時期、どこの池も貯水量は少ないです。
池の中の岩の上にカメがいっぱい甲羅干しをしています。
ここが「平和台公園」の登り口、つまり「磐榮稲荷宮」への道でもあります。車でも上がれる道があるのですけど、歩いても面白くありません。
最初は石段。ぽちぽちと歩きます。
快晴の空と若葉色の木々。 5月は良いですね。 ホントに気持ちいいですよ。
こんな感じの散策路です。多くの区間がコンクリート舗装されています。
時々休憩所が出現します。
桜やもみじが植樹されています。
「ガレリアかめおか」が良く見えます。
時々石段...
ほんとに今日はここに来てよかったです。
来るまで上がってくる道と合流します。
少し歩くと道がなだらかになってきました。
「磐榮稲荷宮」の境内に到着です。
小さなお子様連れのハイキングにはもってこいのルートです。標高が200mほどで登り口が100m程ですから、実質100mの登りです。ま、楽勝ですわな。山頂にトイレがないのが難点ですが、遊歩道もあるので半日ハイキングでお弁当広げるのがちょうどいいぐらいです。自粛自粛でストレスたまってましたが、この快晴の下、気持ちよく歩けたのですっきりしました。
と、なんか最初の「晴明神社」の話とは少しずれてしまいましたが、神社も雰囲気バッチリで展望台の景色もいいのでぜひ訪れてみてください。
アクセス
- 京阪京都交通バス「亀岡市役所」または「亀岡市役所前」下車、登山口まで徒歩15分