すんません、のっけからお断り...
最近、街中(まちなか)の話題が少なく、郊外や山の記事が多いのですが、時節柄ご了承ください。
今回は「とこなげ山行者山ハイキングコース」と名のついているコースを歩きます。コースは亀岡市薭田野町にある「瑞巌寺」から「獨鈷抛山 千手寺」を通って「行者山」に向かうコースなんですけども、このBlogで「千手寺」から「行者山」までは紹介しているので、今回は「瑞巌寺」から「千手寺」までを紹介します。
ただし、このコースは現在亀岡市のHPにはハイキングコースとして掲載されていません。一部倒木(倒竹?)があって歩きにくい場所もありますし、他に紹介されているコースほど整備されていません。でもそんなに高低差もないし、ハイキングコースとして歩けないこともありません。
なので、登っていただくことは特に問題はないと思いますが、各々自己責任でお願いします。
それと、今回、「瑞巌寺」の廃寺跡を回りました。同じように回られる方、お寺の跡であることを良く考えながら行動してください。偉そうな言い方になって申し訳ありませんが、私のBlog が原因でご迷惑をかけるようなことがあってはいけないと思ってます。
2月6日(土)
さて、私が訪れたのはまだ春の声もまだ遠い2月6日。当日一日、お天気も良く、風があまりない穏やかな日でした。
せっかくの良い天気を無駄にしてはもったいないと、朝一番から準備してもゆっくりと巡ることのできる「とこなげ山行者山ハイキングコース」を巡ってみました。
そうそう、これも先に言っておきます。
今回は「転落」とか「滑落」とかギョエ~っとかいう危険な描写はありませんのであしからず。ほんでもって、「こ、こわいよ~っ!」「で、でたぁ~!」とかいうホラーもありませんのであしからず。なんと正調のハイキングBlogですよ。
ごちゃごちゃ言ってないで進みましょう。
まずは薭田野町のR372号線、奥条のバス停から山の方に歩きます。
で、坂を上がって行くと見えてくるのが「瑞巌寺」というお寺です。
「瑞巌寺」の山門です。
山門前にある立派な石碑。
その横にご由緒書きがありました。
瑞巖寺由緒
当山は臨済宗東福寺派に属し、山号は龍峰山と言う。開山は大通和尚で東福寺の春嶽令喜の法を受け、虎関師鍊五世の法孫にあたる。伊勢の朝熊山で虚空蔵菩薩のお告げを受けて娑婆山(後の山)に登り、寺を開創した。時に享徳元年(一四五二)であった。延徳元年(一四八九)開山遷化の後、華隠・学翁より彭叔・文坡と台を重ね、寺境も整い、雲衲の集う道場となったが、天正二年(一五七四)明智光秀の亀山城築城に、際し当時の方丈を移築して城中の広間にしたと言い、慶長元年(一五九六)の地震で堂宇は全開した。これに依り雲衲の四散するなか、文虎一人残って復興に尽くすが、瑞賀なき後、衰微する。
寛永十三年(一六三六)曹洞宗の僧、萬安英種が来山し、一時曹洞宗として栄えたが、萬安が宇治の興聖寺に退くに及んで、又主催者を欠く事となる。明暦二年(一六五六)東福寺の僧、見叟智徹が復興し、中興第一世となる。後、弦外智逢・幹山師貞と学僧相継ぎ、臨済録瑞巖抄・元亨釈書便家・圜悟心要添足、等々の著書も残されている。
昭和三十五年(一九六〇)大梅山法常寺末の唯心庵のあった現在地に総合移転した。これに就いては中興十二世則道・同十三世宏衟両和尚のの尽力もさる事乍ら、檀越諸家の深い理解と協力あっての事である。この現在地より裏山を登る事一三〇〇米の山頂近く旧蹟は、開創以来五百年に亘って法燈を護って着た瑞巖寺を彷彿とさせるものがある。
ご由緒書きによると、昭和35年にこの地に移転したとのことで、それまではこの裏山というか、ハイキングコースの途中に存在していました。後で、この廃寺跡を巡ります。
せっかくですから、現「瑞巌寺」の中をちょっと拝見させていただきます。
こちらが本堂ですね。
「龍峰山」の変額です。
扉にすんごいマークが彫刻されています。
境内には神社もあります。
塀の外側には大きなしだれ桜が見えています。この2か月後には満開になることでしょう。
さて、この「瑞巌寺」の左手の所にハイキングキースの入り口があります。
「とこなげ山行者山ハイキングコース」の看板。
入り口はここですよ。
しばらく藪を歩くと...
獣除けのゲートがあります。 何回も書いてますけど、必ずしっかりと閉めてくださいね。
道はちょっと荒れ気味。
丸太の橋も台風などの大水で小破損。濡れてる時は滑りますのでご注意ください。
そのあとはけっこう広い人道(林道)が続いています。
広葉樹から針葉樹と樹勢が変わります。
時々、山の保守用の道がありますが、大きな道の方を選んでいけば迷うことはないと思います。
天気が良いので気持ちいいです。途中、竹林があって、竹が道に倒れ掛かっているところがありました。少し通りにくいですが、焦らずゆっくりと通れば大丈夫です。
それと、今は寒い時期なんですけども、南側の斜面なのでほぼ無風、日差しが温かく感じられます。
おお、なんか古い標識が出てきました。もろ「廃寺」と書かれています。何も知らない人がいきなり見つけるとちょっと怖いですよね。
開けている場所があります。
よく見ると、墓石や石塔が並んでいますね。もうここから「廃寺跡」の雰囲気満点です。
ハイキングコースは手前に折り返すように登って行くんですけども、まずは「廃寺」の方に行ってみましょう。
ちゃんと石碑が立てられています。
ここからですね。「山門跡」の石碑。
少し行くと、右手に階段があります。ちょっと見に行きましょう。 まぁ、この古そうな雰囲気。何かそそられるものがあります。
どうもお墓や供養塔のようです。下の「瑞巌寺由緒書」にあった高僧の供養塔でしょうか。
道はいきなり竹藪化しています。
コースをよく見ながら進みます。
いきなり境内でしょうか。整列した石が埋められています。
おお、瓦がいっぱい。廃寺となったころのものだとすると60年ぐらい前のものでしょうか。
竹藪になりかけていますが、たぶんお寺の方が手を入れているのでしょう。切断された竹が落ちています。
石段が出てきました。
石段、まだまだ続きます。
多分、この上に本堂とかがあったのだと思われます。
上に上がると、一応、広場のようになってます。
広場の山手。徐々に崩れていくんでしょうね。
巨大な石。
これは人工的に手を入れた石のようですね。なんだったのかはわかりません。
屋根瓦。丸の部分には寺紋もなくツルっとしています。
500年の長きにわたりこの地にお寺がありました。
下の集落から登ってくると30分少々かかるようなところです。
そんな山の中腹ですから世間から離れて修行を積むには良いところだったのでしょう。
お寺としては栄えることもあり、衰微することもあり、それでも500年もの間、お寺としての機能を保ち続けてきたところです。
戦後、都市の発達とともに山の中のお寺は不自由だという声が上がったのでしょう。檀家さんも車で行けないところは足が遠のいてしまいます。そんな中で下の集落に移転した後、残った廃寺は少しずつ自然に帰ろうとしています。
何かが見つけられると思って廃寺跡を廻ったのではありません。
自然に帰るということが、どういうことなのかというのが体感したかったのだと思います。
どんなに栄えていたところでも、人の手が入らないようになると、木々が覆い、竹林が生えて森や林になっていきます。
さて、何か心はすっきりしました。
ぼちぼちとハイキングコースの方に戻りましょうか。
この廃寺跡は山頂に近いところにあるんですけども、竹の勢いがとてもすごいところです。
山の上の方までこれほど竹が生えているところはあまり知りません。
ここにはどんな暮らしがあったのでしょうかねぇ。開祖の「大通和尚」はどんなお告げでこの場所に寺を創建することにしたのでしょうか。今となっては知る由もありません。
さて、先ほどの山門のところまで戻ってきましたよ。
今度は標識に従って「千手寺 行者山」の方に向かいましょうか。
右の方から登ってきました。左の方に折り返すように登っていきます。
と、すぐそこが一番高いところのようですね。
竹の緑がきれいです。道はなだらかに下りて行きます。
道の右側は竹林、左側は杉林です。
こんな雰囲気の道が、けっこう続いています。低い山なんですけど、なんか深い森林の中に入ったような感覚になりますね。
下りが少し急になったなと思い始めてすぐ標識が見えてきました。
右の方から下りてきました。私の後ろには千手寺の墓地があります。ハイキングコースは左の方に真っすぐ進みます。
標識が続いているので道は間違っていません。
軽トラが通れるぐらいの道幅があります。ま、墓地があるので車が入れないと墓石を運ぶのが大変でしょうからね。
で、歩いているといきなり「千手寺」の境内です。
千手寺の山門です。いつもは向こうの方から上がってくるんですけども、今日は反対の方から来て門をくぐって石段を下りて行くことになります。
この山門はBlogで何回も紹介していますね。
このあと、山門から石段を下りたところにある道をたどって「行者山ハイキングコース」を歩きました。で、千代川に下りてゆっくりと歩いて家に帰りましたよ。
「瑞巌寺跡」は500年ものあいだ続いたお寺の跡、「千手寺」は空海が投げた独鈷が落ちたと伝わるところ、「行者山」は太古からの修行場と、この山の界隈は何かがあるぞと思わせるような神秘的なところです。ただハイキングコースを歩くだけではあまり面白みがない平凡なコースですが、歴史を鑑みて回ると、俄然面白くなってきます。
ここでちょっとコマーシャル。お暇なら読んでみてください。
『千手寺』の記事です⇩
『千手寺』から見た雲海と日の出⇩
『行者山』登山⇩
アクセス
- 京阪京都交通バス「奥条」下車、徒歩8分