縣井(あがたい) 京都三大名水のひとつ

 京の水

京都は水がおいしいところです。といっても上水道ではなく、昔ながらの井戸の水の話です。私の小さいころはあちこちの路地に、手押しポンプの水くみ井戸があって、がっちゃんこ、がっちゃんこと水をくみ上げていました。現在の上水道は確かに品質の良い水です。しかし琵琶湖から疎水で引っ張っているので、以前は琵琶湖の水位が下がるととても匂いがして、そのままでは飲めない代物でした。水道局の人には悪いですが、あまり良い印象はありません。

井戸の水は、夏でも冷たくとてもまろやかな飲み味の水が多いです。京都では三大名水として梨木神社の染井、六条堀川館の佐女牛井(さめがい)、そして京都御苑三名水のひとつでもある縣井があります。

残念ながら、佐女牛井と縣井はすでに枯れていて名水を味わうことができません。佐女牛井においては、井戸そのもの自体がもうすでにありません。

今回は、京都御苑にある縣井を訪れました。

※染井については「ちょっと変わったおみくじ 梨木神社」に、佐女牛井については「サメガイ通り サメを飼ってるの?」に書いてますのでよかったらご覧ください。

都会のオアシス

場所は烏丸通りに近い、中立売北休憩所の北側です。乾御門か中立売御門から入ればすぐです。京都御苑は都会の真ん中に突如として出現する緑の休憩所です。真夏の暑い日には都会のオアシスです。もし縣井も水が湧き出ていたら、本当の意味でのオアシスとなっていたことでしょう。

縣井 案内板

緑の中にひっそりとたたずんでます。

縣井 全景No1

縣井 全景No2

縣井 井戸No1

縣井戸と書かれていますが、「縣井(あがたい)」と呼んでいます。古くは懸宮(あがたのみや)が近くにあったのでこの名前がついたそうです。地方官吏として出世を願うものは、懸宮の井戸水で身を清めて祈願し、宮中にのぼりました。
江戸時代までは一條家の屋敷内であり、明治天皇の皇后となった一條美子の産湯に使われました。また、大和物語では病気を治す水として書かれています。

枯れてしまったのが大変残念です。

縣井 井戸No2

閂で止められているので中を見ることはできません。

縣井 全景No3

京都御苑にはいろいろな井戸があるので巡ってみてはいかがでしょうか。

京都御苑案内図[PDF:2.9MB] – 国民公園協会

アクセス

  • 京都市バス「烏丸一条」下車、徒歩2分
  • 京都市バス「烏丸今出川」下車、徒歩5分
  • 京都市営地下鉄「今出川」下車、徒歩5分

京都御苑中立売休憩所の北側

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