出るらしい…
京都にはいろいろな心霊スポットがあります。有名どころは、「清滝道」や「深泥池」なんですけど、今回行ってきた東山トンネルも出るそうです。
京都民は五条坂から国道1号線を上がっていった峠のトンネルを「東山トンネル」と呼んでます。自動車専用のトンネルで、自転車や歩行者は通れません。
そして自転車や歩行者が通るのが、「花山(かざん)洞」と呼ばれる、「旧東山トンネル」です。明治36年(1903年)に「渋谷(しぶたに)街道」の「渋谷隧道(渋谷トンネル)」として開通しました。
以前は、この道が本道でしたが、新しい東山トンネル(新東山隧道:自動車用)ができてからは、「花山洞」と呼ばれ自転車と歩行者専用になっています。
ほんでもって、こっちのトンネルに出るんです。
今は真冬で、季節外れなので出ないことを祈って行ってきました。
何が出るの?
「花山洞」に出没する霊の3強は
1.落ち武者の霊
2.首なしライダー
3.赤い服の女
です。それも、トンネルの半ばあたりで出るそうです。どっちに逃げようかといつも考えておかないといけないですね。
1.の「落ち武者の霊」は、昔から、この峠を通る道が「渋谷街道」と呼ばれてきたこととも関係がありそうです。昔は「久々目路(くくめぢ)」「苦集滅道(くずめぢ)」とか、道がぬかるんで歩きにくかったことから「汁谷口(しるたにくち)」、「汁谷(しるたに)街道」と呼ばれ、江戸時代には「渋谷街道」と呼ばれていました。古くは風葬地であり京都三大葬送地の一つ「鳥辺野(とりべの)」を通り抜ける街道であったことから「死人谷(しびとだに)」とも呼ばれていました。そして、江戸時代には東の処刑場であった「粟田口刑場」もすぐ近くですし「明智光秀」が合戦に負け、逃げ延びた後に討たれたのが、ここのもう少し南であることも関係あるのかもしれません。「汁谷」なんて聞くだけで、死体から体液がしたたり落ちているように想像してしまい、背筋がぞくぞくします。
2.の「首なしライダー」は、「事故を起こした首のないライダーが、自分のバイクを見つめている」とのうわさや目撃情報で、「新東山トンネルの方で霊に引き寄せられて事故死した人の霊が自身の死を嘆いて現れる」との話もあります。新東山トンネルを抜けて最初の右カーブは、昔とても事故が多くあって、たくさんの人が亡くなっています。東山トンネルの「首なしライダー」は「首なしライダー都市伝説」の元祖だと言われています。そういえば、東山トンネルの西の入り口横から入っていく「東山パークウェー」はバイクブームのころ毎週土日になるとローリング族が大挙して訪れ、事故がひっきりなしに起こってたくさんのライダーが死んでいます。三条通りの「蹴上(けあげ)」にも「首無しライダーの霊」が出るのですが、こちらの五条通りの方が元祖です。
3.の「赤い服の女」は、「着物姿の女」だとか「足音だけが後をついてくる」というような噂もあります。五条坂から国道1号線を上ってくると、ずーーーっと、延々お墓が続いていますし(大谷本廟:鳥辺野)、「東山パークウェー」と入り口を同じにする「京都市中央斎場」もこのトンネルのすぐ南の山上にあります。京都で亡くなった人は、基本、ここで荼毘に付されます。「深泥池」のタクシー伝説の女幽霊が行き先を「山科の花山まで」と言ったというような噂もありますし、昔から花山は死と関係のある地名なんでしょうね。
なんか、もう、出て当たり前、出ない方がおかしいといった前振りですね。
私は小心者なのでほんとは行きたくないですよ。まして、夜なんて絶対無理です。でも、「阿含の星まつり」で近くまで行ったので、ちょっと足を延ばしてみました。
当然、昼間です。あしからず。
で、現地
行きは京阪バスで新東山トンネルを超えて山科側まで行きましたので、「花山洞」には道を戻る形でアプローチします。
山科から東山の方に歩きます。東から西に向かうことになります。坂の途中で、歩道がなくなるので、う回路があります。
上の画像は東山方面から走ってきた自動車がトンネルを出てすぐに下りの右カーブを曲がらなければいけないところです。このカーブが意外に長く続いて最後が深く曲がっており、またカーブの奥の方で勾配が急に強くなって下っていくので事故が多いです。オーバースピードでガードレールやコンクリート壁にぶつかるバイクも多いです。路面に書かれているのですが50㎞/h制限なんですね。なので、昼間は自動車の流れとしては60㎞/hぐらいで流れています。夜の交通量の少ない時にはもっと速い自動車が多いですよ。
う回路を経ると、また国道1号線沿いの歩道を歩きます。このあたりからもう少し下ったところなんかが、事故のメッカです。おーこわ。
新東山トンネルの出口(車専用)のところまで来ました。またう回路ですが、この先に「花山洞」があります。
前に、自転車を押す人がいます。よかったぁ~~。でももしかして、前の人が途中で、フッと消えてしまったらどうしようとか、近づくと首がなかったらどうしよう(バイクじゃなくて自転車ですけど…)とか、ああああ。
と思いつつも、「花山洞」の入り口が見えてきましたよ。さっきの人はまだ見えています。
あまり長いトンネルではないですね。向こうが見えています。よかった。さっきの人もまだいます。
旧いレンガ造りの隧道です。でも、なんか違和感のあるレンガ造りですよ。表面に張り付けてあるだけのような感じです。
トンネル内に入りました。おお。人が歩いていますよ。こっちに向かってますね。
でも、すれ違わなかったらどうしよう。フッと消えてしまったらどうしよう。
い、今すれ違いました。首もありました。で、問題のトンネル真ん中あたりです。ぞくぞくします。そのまま、何も起こらないように、平静を装って、そ~っとトンネルを抜けますよ。
出ました、反対側の東山側です。こちらのレンガ造りの方はそれなりの雰囲気で、本物のレンガという感じですね。小心者の私にはとってもドキドキの体験でした。
「方机適川」と書かれているそうですが、なんのこっちゃわかりません。
(※注 「方軌適門」と書かれているのではないかとご指摘いただきました。詳しくはコメント欄をご参照くださいませ。)
また、戻ります。(まだ山科に用事があるので…)
「トンネルを通ると呪われる」という話もあるのですが、勘弁してください。
またまた、反対側から人が歩いてきます。人が来るのが良いのか悪いのかよくわかりませんが、どっちにしてもドキドキです。人であってください。
無事すれ違ったら、また人が来ました。緊張感バリバリです。東山側に近いトンネルの内壁は補強されているようで、新しく、分厚くなっています。
やっと元の山科側に出てきましたよ。距離にすると短いトンネルなんですけど、小心者の私にとってはとっても長い時間に感じられました。私は「霊感」とか全然感じない鈍感な人間なのですが、とっても小心者で、内心ガクブルでした。すれ違う人に緊張感が伝わっていたかもしれません。
やっぱり、夜には絶対にこれません。
夏の「本番の季節」には、夜に肝試しに来る人もいるようですが、夜には「霊」よりも怖い「人間」が来てるかもしれないので、犯罪に巻き込まれないようご注意ください。
アクセス
- 京阪バス「清閑寺山ノ内町」下車、徒歩1分
コメント
あさって行こうかと思ってましたが
やめておきます。
私は小心者で気が弱いです
だから首なし霊にすぐ取りつかれます
年末控え新春雑煮も食べたい
お金は無くてもまだ現世で生きたいです
けんいちさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
いやぁ、ほんとに怖いですよ。京都市内から来ると、広大な鳥辺野の墓地を見ながら峠を上がってきた頂上ですから。
おかげさまで私は今のところ無事生きてますが、いきなりBlogの更新が停まったら、あっち側に引き込まれてしまったのかも...
そんなこと書くのやめときましょう。ほんとになったら怖いので。
びんぼーで年を越せないかもしれませんが、私もお雑煮は何とかして食べたいですよ。
天気予報では週末は雪がちらつくような事を言ってましたが、お風邪など召されませんようご自愛ください。
Jun@Kyoto
「方机適川」ではなく、
「方軌適門」かと。適は違う漢字のような気もしますが。
方軌で、車が並行する。という意味。(軌=わだちで、荷車のわだちですね)
中国は牛馬に曳かせますが、日本だと人が曳く荷車で幅45-60㎝だったはず。
つまり、荷車が行き違える幅(100-130㎝)
明治の頃に皇族方が東京に行き、京都が寂れた時に。京都、山科、宇治を陸路と水路でつなぎ、大きな経済圏として物資の行き来を活発にして地域おこしを行おう。という運動がありました。蹴上の発電所もその一環で作られたものです(発電を行い、工場動かす)。日の岡-蹴上の道路整備やインクラインもその一環です。
(道路に車石を敷き、荷車での行き来をしやすくした)。
で、もう一つ。渋谷街道も整備(拡幅工事と、隧道工事)して、物資の運搬をしやすくしました。花山トンネルは、この時開かれた隧道です。
これを踏まえると「方軌適門」は、荷車が行き違えるに適した、(100-130㎝幅の)門(隧道)。という意味になるので、すっきりするかと。
中国だと門は、城の門。城壁都市外と廓内を遮る通路。という意味もあり、漢詩では2つの異なる世界を繋ぐ施設。トンネル。という意味でも使われますから、トンネル(隧道)を門。と表現してもおかしくはないと思います。
(戦前の扁額では、漢詩の知識を以て書かれることも多かったので)
どちら様か存じませんがご指摘ありがとうございます。
見識が浅いゆえ、記事のあちこちで恥をさらしていると思います。
これからもご指摘いただけると幸いです。本当にありがとうございました。
Jun@Kyoto (ガイドブックに載らない京都)