電電宮 スマホの神様?

 虚空蔵(こくぞう)さんの境内

嵐山の虚空蔵さん(法輪寺)の境内に、「電電宮」という神社があります。虚空蔵さんは京都民なら多くの人が行く十三参りのお寺なので、ほとんどの人が訪れたことがあると思います。

法輪寺も神仏習合の流れで鎮守社が作られることになるのですが、それが電電宮です。平安時代前期の僧・道昌が葛井寺(かどのいでら:現法輪寺)で行った虚空蔵求聞持法の満願の日に、井戸から水を汲んでいると空から明星が降りそそいで虚空蔵菩薩が来迎しました。この示現から、明星を表す明星天子を本地仏として、雷の神である電電明神を祀る明星社が鎮守社の一つとして作られました。

残念ながら、元治元年(1864年)の禁門の変により、明神社は堂舎などとともに焼失し、長く仮宮に鎮座したままとなっていました。昭和31年(1956年)、関西の電気電波関係者により社殿は仮宮のままですが明星社が再興され、同時に境内に電気電波関係者の霊を顕彰する「電電塔」が建てられました。昭和44年(1969年)には大阪万博を記念して社殿が再建され、電電宮に改称しました。

電電宮

今では、電気・電波だけでなくコンピュータ関係者や電気通信事業者からも信仰を集めています。現在で言えばスマホの神様ですよね。電電宮にはSDカードの御守もありますよ。

でも私が十三参りに行った頃は、電気ではありましたが、どちらかというと「雷除け」の神社の印象の方が強かったです。

私は、JR嵯峨野参院選の「嵯峨嵐山」からゆっくりと歩いて、渡月橋を渡っていきました。

電電宮 法輪寺山門

法輪寺の山門です。緑がきれいです。

電電宮 電電塔No1

山門のすぐ右手に「電電塔」とレリーフがあります。

電電塔 駒札

日本の神社で、外国人を祀っている神社というのはそうそうないと思います。

電電塔 エジソン

一人は、小学校などで「偉人」として習うトーマス・アルバ・エジソン。電気の父、発明家として有名ですね。

電電塔 ヘルツ

もう一人はハインリッヒ・ルドルフ・ヘルツ。こちらは知らない人の方が多いでしょうが電波の父として有名です。周波数を表すヘルツはこの人の名前から来ています。商用電源は関東では50ヘルツとか。

(残念ながら私がこれを書いている時点では、法輪寺のHPではヘルムホルツと紹介されています。ヘルムホルツはヘルツの師匠で別人です。)

電電塔 No2

「電電塔」です。電気は「感電」すると命を落とすことがあります。今まで電気はもとより、雷(高い電圧)で命を落とされて人のために、手を合わせてきました。私も感電で命を落としませんようにと。

電電宮 護持会

さて、電電塔のある山門から石段を上がる途中に、昭和54年(1979年)1月に結成された「法輪寺電電宮護持会」の芳名録があります。有名な企業がそろってますね。「法輪寺電電宮護持会」が電電宮、電電塔の維持を行っています。

電電宮 駒札No1

石段の3/4ぐらいのところに電電宮があります。

電電宮 獣魂供養塔

電電宮の通路には「獣魂供養塔」があります。毎年4月中旬、京都市食肉協同組合が主催し、獣魂法要という畜肉の獣魂を慰霊する法要が行なわれています。虚空蔵とは、大空(宇宙)を意味するものであり、絶えず自然の恩恵を平等に与え、無限の動植物を育成していることから、お肉として我々がいただく動物の命をお祀りしているのだと思います。

電電宮 鳥居No1

さて、電電宮の前に来ました。

電電宮 神額No2

電電宮 駒札No2

我々の生活に、電機、電波は欠かせないものとなってきました。電気がなければ当然生活できませんが、電波がなかったら、スマホは当然使えないし、通信の手段は「のろし(狼煙)」に戻ってしまうでしょうね。

電電宮 鳥居No2

電電宮 本殿No1

電電宮 鈴緒

電電宮 本殿No2

観光客でににぎわう嵐山から渡月橋を渡ってすぐ、あまり人がいなくて静かな法輪寺です。嵐山観光の折にはちょっと足を延ばしてみてください。

アクセス

  • 京都市バス「嵐山公園」下車、徒歩3分
  • 京都バス「中の島公園」下車、徒歩3分
  • 阪急電鉄嵐山線「嵐山」下車、徒歩5分

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